【労務】固定残業代があるから残業時間を集計していない会社、それで大丈夫ですか?
2026年09月30日 08:26
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
秋山社会保険労務士事務所
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うちは固定残業代を払っているので、毎月の残業時間までは集計していません。
給与計算や労務管理を確認していると、たまにこういう会社があります。
たとえば、月30時間分の固定残業代を払っているから大丈夫!多少残業しても、固定残業代の範囲内だと思う!
毎月同じ金額を払うんだから、残業時間を計算する必要はないでしょう!という考え方です。
しかし、ここはかなり危ないところです。
固定残業代は、残業時間を数えなくてもよくなる制度ではありません。
むしろ固定残業代を採用している会社ほど、実際に何時間残業したのか。固定残業代で何時間分までカバーして
いるのか。固定残業代を超える割増賃金が発生していないかを毎月確認する必要があります。
固定残業代を払っていても、残業時間の把握は必要です
使用者は労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録することとされています。原則として、タイムカード、
ICカード、パソコンの使用時間などの客観的な記録を基礎に労働時間を把握することが求められています。
これは固定残業代を導入している会社だから不要になる、という話ではありません。
なぜなら、固定残業代はあくまで一定額の割増賃金をあらかじめ支払っている仕組みだからです。
実際に発生した割増賃金の方が固定残業代を上回れば、その差額を追加で支払う必要があります。
固定残業代について、実際の残業時間から計算した時間外手当より固定支給額が低い場合には、不足額を支払う必要があります。では、残業時間を集計していない会社はどうやってその差額を確認するのでしょうか。ここが問題です。
「30時間分払っているから大丈夫」ではありません
たとえば、基本給 250,000円・固定残業代 50,000円・固定残業代は30時間分という社員がいたとします。
毎月、基本給250,000円・固定残業代50,000円を支給している。ここだけ見ると、給与計算はできています。
しかし実際には、4月 残業18時間 5月 残業27時間 6月 残業34時間 7月 残業42時間
だったらどうでしょう。
6月と7月は、固定残業代の対象時間を超えている可能性があります。
当然、割増賃金を計算して固定残業代との差額を確認しなければなりません。
ところが会社が残業時間そのものを集計していなければ、超過したことにすら気付けません。
毎月同じ給与を振り込んでいるから給与計算ができているように見える。
実際には、未払い残業代が毎月少しずつ積み上がっている。
私は、固定残業代で怖いのはこういう状態だと思っています。
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固定残業代の問題は、給与明細だけ見ても分かりません
給与明細に、「固定残業手当 50,000円」と書いてある。
それだけで固定残業代のチェックが終わるわけではありません。
少なくとも確認したいのは、雇用契約書や労働条件通知書にどう書かれているか・就業規則、賃金規程にどう規定されているか・何時間分の固定残業代なのか・割増賃金の基礎単価はいくらなのか・実際の時間外労働は何時間なのか・法定休日労働や深夜労働をどう扱っているのか・固定残業代を超えた差額を支給しているか・勤怠記録と給与計算が一致しているかといったところです。
固定残業代について、通常の労働時間の賃金部分と固定残業代部分を判別できるようにすること、実際の割増賃金額が固定残業代を上回れば差額を支払う必要があるとしています。
固定残業代を導入している場合であっても、実際の時間外労働時間数に応じた法定割増賃金額を確認するため、日々の労働時間を適正に把握する必要があると明示しています。
固定残業代のチェックは「手当の金額を見る仕事」ではありません。
勤怠、給与計算、雇用契約書、就業規則、賃金規程を横断して確認する仕事です。
給与計算ソフトが正しくても、給与計算が正しいとは限りません
ここは総務担当者の方にもぜひ確認していただきたいところです。
給与計算ソフトに、「固定残業手当50,000円」と登録すれば、毎月きれいに50,000円が支給されます。
計算エラーも出ません。給与明細もきれいに出ます。だから、一見すると問題がないように見えます。
でも、その50,000円で今月の実際の残業代をカバーできているのかは、給与計算ソフトに固定額を登録しただけでは分かりません。勤怠データと照合しなければ分からないからです。
給与計算というのは、数字を給与ソフトに入力して終わる作業ではありません。
その数字の前提となっている、労働時間・賃金単価・手当の意味・割増率・就業規則まで確認して、初めて正しい給与計算になります。
特に一度確認してほしい会社
もし次のような状態なら、一度確認しておいた方がいいと思います。
・固定残業代を毎月同額で払っている
・実際の残業時間を給与計算担当者が把握していない
・固定残業代を超えた差額を支払った記憶がない
・何時間分の固定残業代なのか担当者が即答できない
・昔からある制度なので、そのまま運用している
・固定残業代を設定した当時から基本給や手当が変わっている
・勤怠システムと給与計算が連動していない
・賃金規程を何年も見直していない
特に注意したいのが、「今まで何も言われていないから大丈夫」という状態です。
労務の問題は、何も起きていない間は表に出ません。
退職時に初めて残業代の話になることもあります。
その時になって過去の勤怠を確認しようとしても、記録が十分に残っていなければ、会社側も説明が難しくなります。
だからこそ、問題が起きる前に一度整理しておく意味があります。
給与計算セカンドオピニオンで確認できます
弊所では、現在の給与計算をすべて変更してください、というところから始める必要はないと考えています。
まずは、今の給与計算方法で問題がないかを確認するだけでも構いません。
給与計算セカンドオピニオンでは、勤怠データ・賃金台帳・雇用契約書・就業規則・賃金規程・固定残業代の設定
などを確認しながら、現在の給与計算と実際の労働条件が合っているかを確認します。
固定残業代だけでなく、割増賃金単価・残業時間の集計方法・各種手当・欠勤・遅刻早退控除・最低賃金
社会保険など、給与計算にはいくつもの確認ポイントがあります。
「給与ソフトから数字は出ている」ではなく、その数字の作り方が合っているか。
ここを見るのがセカンドオピニオンです。
毎月確認する仕組みが必要なら、月次顧問という方法もあります
一度確認して終わりではなく、昇給した・新しい手当を作った・固定残業代を変更した・勤務時間を変更した
新しい社員が入った。こうした変化があるたびに、給与計算の前提条件も変わります。
「この手当は割増賃金の基礎に入るのか」
「この働き方なら何時間から残業になるのか」
「固定残業代の設定を変更する必要はないか」
こうしたことを毎月確認しながら運用したい会社については、月次顧問という方法もあります。
給与計算で数字が出てから相談するのではなく、数字が出る前の労務管理から確認する。
その方が、後から給与を修正する回数も減らせます。
固定残業代だけでなく、会社全体を確認したい場合は労務監査
固定残業代に問題が見つかった会社を確認すると、それ以外にも課題が見つかることがあります。
勤怠管理・36協定・労働時間・雇用契約書・就業規則・賃金規程・年次有給休暇管理・給与計算
こうしたものは全部つながっています。
固定残業代だけ直せば終わりとは限りません。
会社全体の労務管理を一度整理したい場合には、労務監査という方法もあります。
「払っているか」ではなく「計算できているか」
固定残業代について経営者の方に確認していただきたいのは、固定残業代を払っているかではありません。
「実際の残業時間を把握して、毎月差額まで確認できているか」です。
固定残業代50,000円を毎月きちんと振り込んでいる。
それ自体は給与計算として間違っていないかもしれません。
しかし、その裏で実際に60,000円の割増賃金が発生していたら話は別です。
そして残業時間を集計していなければ、その10,000円の不足には気付けません。
固定残業代がある会社ほど、一度、勤怠と給与計算を横に並べて確認してみてください。
うちは本当に合っているのか分からない、昔からこの計算方法だが、一度確認したい、固定残業代以外も含めて
給与計算全体を見てほしいという会社については、給与計算セカンドオピニオン、月次顧問、労務監査で対応しています。
給与計算を全部入れ替える前に、まず現在の計算方法が合っているのかを確認する。そこからでも十分です。
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