【労務】歩合給、割増賃金の計算に入れていますか?
2026年09月26日 07:16
営業成績に応じて歩合給を支給している会社があります。
たとえば、基本給20万円+売上や契約件数に応じた歩合給5万円という給与体系です。
では、この社員が残業した場合、残業代をどのように計算していますか?
給与計算を確認していると、基本給20万円だけを使って残業代を計算しているというケースがあります。
しかし、歩合給だからといって、割増賃金の計算から当然に外してよいわけではありません。
厚生労働省も、歩合給制であっても法定労働時間を超えて働いた場合には割増賃金が必要と明示しています。
歩合給には歩合給の計算方法があります
ここが少しややこしいところです。月給部分と歩合給部分では、割増賃金の計算方法が違います。
月給制の賃金であれば、原則として月給額を月の所定労働時間数などで割って1時間当たりの賃金を計算します。
一方、歩合給などの出来高払制の場合は、その賃金算定期間の歩合給総額 ÷ その期間の総労働時間数
で1時間当たりの金額を算出します。
これは労働基準法施行規則第19条に基づく計算方法で、労働局も同じ方法を示しています。
つまり、「歩合給もらっているから残業代はいらない」ではありません。
歩合給についても、きちんと割増賃金を計算する必要があります。
なぜ歩合給部分は「1.25」ではなく「0.25」なのか
ここも給与計算で間違えやすいところです。
通常の月給部分について法定時間外労働の残業代を計算する場合、1時間当たりの賃金 × 1.25
という計算をします。ところが歩合給部分は、歩合給総額 ÷ 総労働時間数 × 0.25
となります。なぜ1.25ではないのでしょうか。
歩合給については、残業した時間を含めた成果に対する通常の賃金部分が、すでに歩合給本体に含まれていると
考えるためです。
そこで追加して支払うのは、原則として25%の割増部分となります。
厚生労働省の資料でも、歩合給について1.25ではなく0.25を使用する理由として、通常賃金部分を二重に支払う
ことになるためと説明されています。
具体的に計算してみます
たとえば、基本給20万円・歩合給5万円・1か月平均所定労働時間160時間・その月の総労働時間180時間
うち法定時間外労働20時間だったとします。
まず基本給部分です。20万円 ÷ 160時間 × 1.25=1時間当たり1,562.5円これに20時間を掛けます。
次に歩合給部分。5万円 ÷ 180時間 × 0.25
これが、歩合給部分について追加しなければならない1時間当たりの割増賃金です。
そして20時間の時間外労働があれば、その時間数を掛けます。
つまり、基本給から計算した残業代だけを支払って終わりではありません。
歩合給部分について計算した割増賃金も加算する必要があります。
労働局も、固定給と出来高給が併存する場合、それぞれの方法で計算した割増賃金を合計する例を示しています。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
秋山社会保険労務士事務所
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「歩合給5万円」は毎月変わる。だから毎月単価も変わります
これも歩合給の給与計算で注意したいところです。
今月は歩合給3万円。翌月は8万円。その次は5万円。さらに総労働時間も毎月違う。そうすると当然、
歩合給部分の1時間当たりの割増賃金単価も毎月変わります。
固定した残業単価を給与ソフトに一度登録して、そのまま毎月使っている会社では注意が必要です。
問題は、どの賃金を、どの計算方法で割増賃金に反映させるのかという設定そのものが間違っている場合です。
間違った設定をすれば、給与ソフトは毎月正確に間違った金額を計算してくれます。
「歩合給だから残業代込み」ではありません
営業職などで、「歩合給をたくさん払っているから、その中に残業代も含まれている」という説明を聞くことが
あります。しかし、単に会社がそう考えているだけで、当然に残業代を支払ったことになるわけではありません。
歩合給と割増賃金は分けて考える必要があります。歩合給とは別に必要な割増賃金が正しく計算されているのか。
給与明細上でも何を支払っているのか。一度確認しておいた方がよいでしょう。
給与計算のミスは「足し算・引き算」だけではありません
給与計算のチェックというと、残業時間を間違えていないか。社会保険料を正しく控除しているか。
雇用保険料率は合っているか。こうした数字の確認をイメージされるかもしれません。
しかし、本当に怖いのは、計算式そのものが最初から間違っているケースです。
歩合給を割増賃金の計算から外している。固定残業代の計算単価が違う。
割増賃金に算入すべき手当を外している。月平均所定労働時間が間違っている。
こうした状態では、毎月きちんと給与計算をしているつもりでも、未払い賃金が積み上がっていく可能性があります。
厚生労働省も、割増賃金の基礎から除外できる賃金については限定して定めています。会社が独自に「これは手当
だから除外」と決められるものではありません。
歩合給を支払っている会社こそ、一度給与計算の確認を
「今までずっとこの計算方法だから」「給与ソフトが計算しているから」「前任者から引き継いだ方法だから」
それだけでは、正しい給与計算になっているとは限りません。
特に、基本給+歩合給・基本給+各種手当+歩合給という給与体系の会社では、一度割増賃金の計算式を確認して
みてください。歩合給を支給しているのに、その部分について割増賃金をまったく計算していないのであれば、
未払い賃金が発生している可能性があります。
秋山社会保険労務士事務所では、毎月の給与計算だけでなく、現在行っている給与計算の方法そのものが適切かを確認する給与計算セカンドオピニオンにも対応しています。
給与計算で怖いのは、一度の計算ミスより、
間違った計算方法を「正しい」と思ったまま何年も続けることです。
歩合給を支給している会社は、一度割増賃金の計算方法を確認してみてはいかがでしょうか。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
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