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【労務】「残業命令はしていません」なら残業代は不要? 今日中に終わらない仕事を渡していませんか

2026年10月05日 08:52

対応地域:全国対応

主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府

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会社から残業しろとは一度も言っていません、従業員が勝手に残って仕事をしているだけです。

だから残業代は払わなくてもいい。本当にそうでしょうか。

例えば、終業時刻が18時の従業員に、16時ごろ大量の仕事を渡して、「これ、明日の朝までに

全部終わらせてください」と指示したとします。

普通に考えれば18時までには終わらない仕事量です。半日はかかる仕事量です。

従業員は仕方なく20時、21時まで残って仕事をしている。上司もそれを知っている。しかし会社からは、

「残業しろとは言っていません」このような労務管理は注意が必要です。

厚生労働省は「黙示の指示」による業務も労働時間としています

厚生労働省は、平成29年1月20日付け基発0120第3号により、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき

措置に関するガイドライン」を示しています。

このガイドラインでは、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示だけでなく、

黙示の指示によって業務に従事している時間も労働時間になるという考え方が示されています。

さらに重要なのは、会社が就業規則や雇用契約書に何と書いているかだけで決まるわけではないという点です。

実際にその仕事が会社から義務付けられていたのか、あるいは仕事をせざるを得ない状況に置かれていたのかなどを

踏まえて、個別具体的に判断されます。

「明日までに終わらせて」が実質的な残業指示になっていないか

もちろん、「明日までに終わらせて」と言ったら必ず黙示の残業命令になるという意味ではありません。

定時内で十分終わる仕事なのに、従業員が自己判断で必要以上に時間をかけていたケースまで、すべて

残業命令になるわけではありません。

しかし、

  • 所定労働時間内では到底終わらない業務量だった

  • 納期を翌日に設定していた

  • 従業員が残業していることを上司が把握していた

  • それでも業務量を減らさなかった

  • 他の従業員に仕事を振り分けなかった

  • 納期も変更しなかった

  • 「帰りなさい」と具体的に残業を止めることもしなかった

こうした事情が重なれば、「残業してくださいとは言っていません」という一言だけでは済まない可能性が

あります。会社が設定した業務量と納期そのものによって、残業を余儀なくされていなかったかを見る必要が

あります。


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「残業は事前許可制だから払わない」も危険です

就業規則に、「時間外労働は事前に上司の許可を受けなければならない」と定めている会社も多いでしょう。

このルール自体を設けることに問題があるわけではありません。

しかし、実際には残業して仕事をしていることを会社が把握しているのに、

「事前申請が出ていないから残業ではありません」と処理するのは別問題です。

厚生労働省のガイドラインでも、労働時間に該当するかどうかは、就業規則などの定めだけではなく、実際に

使用者の指揮命令下に置かれていたかどうかで客観的に判断するとされています。

残業申請をしていなかったことと、実際に労働時間だったかどうかは分けて考えなければなりません。

無断残業について社内ルール上注意・指導する問題と、実際に行われた労働について賃金を支払う問題は同じでは

ありません。

「仕事が遅い本人が悪い」だけで終わらせない

もう一つよくあるのが、「他の社員なら定時で終わります。この人の仕事が遅いだけです」

というケースです。

確かに、従業員ごとに仕事の処理能力には差があります。

だからといって、実際に会社の業務を行っていた時間を一律に労働時間から外せるわけではありません。

仕事の進め方に問題があるのであれば、教育するのか。業務量を調整するのか。

配置を変更するのか。業務そのものを効率化するのか。これは人事労務管理の問題として別に対応する必要があります。

「仕事が遅いから残業代はなし」で処理してしまうと、後になって未払い賃金の問題になる可能性があります。

残業代トラブルは給与計算だけ見ても防げません

未払い残業代を防ぐというと、タイムカードを確認する。残業申請書を作る。

給与計算を正しくする。こうした対策を思い浮かべる会社が多いと思います。

もちろん、それも必要です。しかし、その前に確認してほしいことがあります。

その仕事量、本当に定時で終わりますか。その納期、本当に現実的ですか。

毎日20時まで働いている従業員に対して、「会社は残業命令をしていない」と言う前に、なぜ毎日20時まで仕事を

しているのかを確認する必要があります。

残業代の問題は、勤怠システムや給与計算だけではありません。

業務量、納期、人員配置、上司の指示、残業申請制度まで含めた労務管理の問題です。


秋山社会保険労務士事務所では、就業規則や残業申請制度だけでなく、勤怠管理や給与計算を含めた実際の運用に

ついても確認しています。「残業命令していないから大丈夫」と思っていた会社ほど、一度実態を確認してみてください。

未払い残業代を請求されてから慌てるより、請求される前に残業が発生する仕組みそのものを見直す方が、企業防衛に

つながります。


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