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【労務】離職票を作る社労士だから分かる。「この会社、また辞めたな」が続く会社の共通点

2026年09月14日 08:28

離職票を作っていると、同じ会社で退職者が続くことがあります。

1人、2人ならたまたまかもしれません。でも、短期間に何人も続くと、「またこの会社か」と思うことがあります。

もちろん、退職理由は人それぞれです。転職、家庭の事情、体調、引っ越しなど、会社ではどうにもできない理由

もあります。

ただ、離職票だけではなく、労働条件通知書、賃金台帳、勤怠資料、雇用契約書、助成金の申請書類などを見ている

と、「入社時に会社が約束したことと、実際の働かせ方が合っていない」という会社があります。

退職者が続いている会社では、一度こうした「ズレ」がないか確認してみてください。

1.労働条件通知書と実際の勤務状況が大きく違う

まず気になるのが、労働条件通知書と実際の勤務実態です。

労働条件通知書には、「週○日勤務」「1日○時間勤務」と書いてある。ところが賃金台帳や勤怠を見ると、

実際の出勤日数や労働時間が大きく違っている。もちろん、シフト制で勤務日数が変動することもあります。

残業や欠勤によって毎月の労働時間が変わることもあります。

問題なのは、入社時に説明した働き方と、実際の働き方が恒常的に違っていることです。

会社側は、「人が足りないから仕方がない」「今月だけ忙しかった」と思っているかもしれません。

しかし、それが何か月も続けば、従業員からすれば、「聞いていた話と違う」になります。

労働条件通知書は、会社が形だけ作ってファイルに閉じておく書類ではありません。

実際の働き方とズレてきたのであれば、勤務体制そのものを見直す必要があります。

2.何年も働いているパート・契約社員をそのままにして、新人だけ正社員になっていませんか?

キャリアアップ助成金を使って、パートや契約社員などを正社員に転換すること自体は悪いことではありません。

ただ、会社の中を見ると、何年もパートや契約社員として働いている人がいるのに、入社して間もない人が先に

正社員になっているということがあります。もちろん、勤続年数が長ければ必ず正社員にしなければならない、という

話ではありません。

能力、勤務状況、本人の希望、会社の人員配置など、正社員登用にはいろいろな事情があります。

しかし、長年会社を支えてきた人から見ればどうでしょうか。自分は何年働いてもパートや契約社員のまま。

ところが、ぱっと入ってきた新人がキャリアアップ助成金を使って正社員になる。

理由がきちんと説明されていなければ、「なんであの人が先なん?」「自分は評価されていないのか?」という不満が

出ても不思議ではありません。特に注意したいのは、「この人を正社員にしたら助成金が出る」という発想が先に立って

しまうことです。助成金を受給することが目的になり、人事評価や社員の納得感が後回しになれば、本来会社に残って

ほしい人が辞めることもあります。長く働いてきた人が辞め、新しく入った人をまた採用し、その人を助成金で正社員

化する。そんなことを繰り返していたら、何のための人材育成なのか分かりません。

キャリアアップ助成金を使うのであれば、誰を、なぜ正社員にするのか。

その基準を会社として説明できる状態にしておくことが大切です。


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3.「勤務地の変更なし」と書いているのに転勤させている

これも実務でよく気になるところです。労働条件通知書には、「就業場所の変更の範囲 変更なし」と書いてある。

ところが、実際には別の店舗や別事業所へ転勤させている。

会社側は、「同じ会社なんだから」「通える距離だから」と思っているかもしれません。しかし、従業員からすると

勤務地はかなり重要です。通勤時間も変わります。交通手段も変わります。保育園の送迎や家族の介護に影響する

人もいます。入社するときに、「勤務地は変わりません」と説明されていた人なら、転勤を命じられた時点で、

「話が違う」となります。転勤の可能性がある会社なら、最初から実際の人事運用に合った労働条件を示しておく

必要があります。書面と現場の運用が違えば、従業員との信頼関係は少しずつ崩れていきます。

離職理由が「自己都合」だから会社に問題がない、とは限りません

離職票では、退職理由を確認します。本人から退職届が出ていれば、「自己都合退職」として処理するケースも多い

でしょう。でも、自己都合退職=会社には何の問題もなかったという意味ではありません。

本人が自分から辞めたとしても、「入社時に聞いていた勤務条件と違う」「思っていたより勤務時間が長かった」

「何年働いても正社員になれない」「新人ばかり先に正社員になる」「転勤はないと聞いていた」

そんな不満が積み重なっていた可能性もあります。会社が本当に見るべきなのは、離職票に何と書いたかだけでは

なく、その人がなぜ退職届を書くところまでいったのかです。

退職者が続いたら、採用する前に一度会社の中を見てください

人が辞めると、「求人を出さなければ」となります。

もちろん、人が足りなければ採用は必要です。ただ、辞める原因が会社の中に残ったままなら、新しく採用した人も

また辞める可能性があります。労働条件通知書と勤務実態は合っているか。正社員登用の基準は公平か。長く働いて

いる社員が置き去りになっていないか。勤務地や勤務時間について、入社時の説明と実際の運用が違っていないか。

一度確認してみてください。

離職票を作る枚数を減らすことも、労務管理です

社労士は、依頼があれば離職票を作ります。ただ、本当に会社にとって大切なのは、離職票を早く作ることではなく、

必要以上に離職票を作らなくて済む会社にすることだと思っています。

労働条件通知書、雇用契約書、勤怠、給与計算、助成金、配置転換。それぞれ別々の仕事に見えますが、全部つながっています。


入社から退職までの労務管理そのものを一度点検してみてはいかがでしょうか。

秋山社会保険労務士事務所では、労働条件通知書・雇用契約書の整備、就業規則の見直し、給与計算、労務管理全般の

ご相談を承っています。人を採用することだけではなく、人が辞めにくい労務管理を整えることも企業防衛です。



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