【労務】「特殊な業界だから仕方がない」で年次有給休暇取得を拒否していませんか?
2026年09月23日 08:13
介護・障害福祉サービスの会社で労務相談をしていると、ときどき耳にする言葉があります。
「うちは特殊な業界だから、一般の会社と同じようにはいかないんです」
確かに、介護・障害福祉サービスには独特のルールがあります。人員配置基準があります。
資格者の配置が必要な場合もあります。
利用者数に応じた職員配置、常勤換算、夜間の勤務体制、各種加算の要件など、一般企業にはない
制度が数多くあります。しかし、それと労働法は別の話です。
介護・障害福祉サービスという特殊な業界だから、労働基準法が適用されなくなるわけではありません。
人員配置基準を守ることも必要。年次有給休暇を適切に取得させることも必要。
どちらか一方を守ればよいという話ではありません。
「人員配置基準を満たせないから有休は取れません」
例えば、従業員から年次有給休暇の申出があったとき、「あなたが休むと人員配置基準を満たせなく
なるので、有給休暇は取れません」と説明していないでしょうか。
ここで一度確認してほしいことがあります。
その従業員が1日年次有給休暇を取得すると、本当に人員配置基準を満たさなくなるのでしょうか。
介護・障害福祉サービスの人員配置基準は、単純に、「今日、何人出勤しているか」だけで判断する
ものばかりではありません。
サービスの種類によって、
常勤換算で判断するもの
利用者数との割合で判断するもの
必要な職種ごとに人数が定められているもの
一定の時間帯に配置が必要なもの
など、基準は異なります。
つまり、「職員が今日1人休んだ」=「直ちに人員配置基準違反」とは限りません。
人員配置基準と「今日のシフト人数」を混同していませんか?
ここは非常に重要です。
現場では、「今日1人休んだらシフトが厳しい」という話と、「法令上の人員配置基準を満たさなくなる」
という話が混同されることがあります。この2つは同じではありません。
もちろん、従業員が休むことで実際に必要な配置が確保できなくなるサービスや時間帯もあります。
しかし、その場合でも、どの人員配置基準の、どの要件を満たさなくなるのかを具体的に確認する必要が
あります。単に、「介護だから」「障害福祉だから」「配置基準があるから」という言葉だけで年次有給休暇を
拒否することはできません。
「特殊な業界」は労働法を守らなくてよい理由にはなりません
介護・障害福祉サービスの会社では、「一般企業とは違う」「人がいないと利用者を放っておくことになる」
「配置基準があるから自由に休ませられない」という話を聞くことがあります。
現場の事情として理解できる部分はあります。
しかし、業界に特殊な事情があることと、労働法の適用を受けないことは全く別です。
介護事業所で働く職員も、障害福祉サービス事業所で働く職員も、労働者である以上、原則として労働基準法を
はじめとする労働関係法令の適用を受けます。
例えば、
年次有給休暇
労働時間
休憩
休日
時間外労働
割増賃金
最低賃金
といったルールが、
「介護業界は特殊だから」という理由だけでなくなるわけではありません。
むしろ、人員配置基準など独自の規制があるからこそ、介護・障害福祉サービスのルールと労働法の両方を成立
させる労務管理が必要になります。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
秋山社会保険労務士事務所
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「人が足りない」は年次有給休暇をなくす理由にはなりません
年次有給休暇は、原則として労働者が指定した時季に与えるものです。
会社には一定の場合に時季変更権がありますが、「配置基準があるから」という理由だけで、常に希望日の取得を
認めない運用が当然に認められるわけではありません。
本当にその日の取得によって事業の正常な運営を妨げるのか。
代替要員を確保できないのか。勤務シフトの変更で対応できないのか。業務の調整ができないのか。
個別に検討する必要があります。
毎回、「人員配置基準があるから有休は取れません」となっているのであれば、年次有給休暇の問題だけではなく、
そもそもの会社の人員体制を確認する必要があります。
年5日の有給休暇取得義務もあります
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、会社には年5日の年次有給休暇を取得させる義務が
あります。
つまり会社自身が、「配置基準があるので有休は取らせられません」と言い続けるわけにもいきません。
人員配置基準を守りながら、従業員が年次有給休暇を取得できる体制も作る。
それが会社側に求められる労務管理です。
介護・障害福祉のルールと労働法、両方を見る必要があります
介護・障害福祉サービスには、一般企業にはない特殊な制度があります。
だからこそ労務管理も簡単ではありません。
しかし、「特殊な業界だから労働法どおりにはできない」で終わらせてしまうと、未払い残業代、長時間労働、
有給休暇、休憩、休日など、別の労務問題を抱えることになります。
必要なのは、介護・障害福祉サービスの人員配置基準を守りながら、労働法も守れる仕組みを作ることです。
「人員配置基準だから有休は無理」と言う前に、その従業員が1日休むことで、本当にどの基準を満たさなく
なるのか。そもそも自社の人員配置基準を正しく理解しているのか。
そして、有給休暇を取得できるだけの人員体制になっているのか。
一度確認してみてはいかがでしょうか。
秋山社会保険労務士事務所では、年次有給休暇管理、労働時間管理、雇用契約書、就業規則など、会社の労務管理
全体を確認する労務健康診断を行っています。
特に介護・障害福祉サービスでは、「業界では普通」「昔からこうしている」「特殊な業界だから仕方がない」
という運用が、本当に法令上問題がないのかを一度整理しておくことが重要です。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
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