【労務】月平均所定労働時間、本当に合っていますか?間違えると残業代・最低賃金にも影響します
2026年09月22日 06:59
給与計算セカンドオピニオンや労務健康診断をしていると、残業代の計算に使用する
月平均所定労働時間が「173時間」になっている会社を見かけることがあります。
そこで、「この173時間は、どのように計算しましたか?」と確認すると、
「昔から173時間で計算しています」「給与計算ソフトにそう登録されています」
「前任者からそのまま引き継ぎました」という回答になることがあります。
しかし、月平均所定労働時間は、すべての会社が173時間になるわけではありません。
そして、この数字を間違えていると、単に給与計算ソフトの設定が少し違うという話では済みません。
残業代の計算間違い、未払い賃金、さらには最低賃金を下回っていることに気付かない原因になる
可能性があります。
そもそも「173時間」はどこから出てくるのでしょうか
例えば、
1日の所定労働時間 8時間
年間休日 105日
という会社を考えます。
365日から年間休日105日を引くと、
365日-105日=年間所定労働日数260日
となります。
年間所定労働時間は、
260日×8時間=2,080時間
これを12か月で割ると、
2,080時間÷12か月=約173.33時間
となります。
このような計算から「173時間」という数字が出てきます。
ですから、173時間という数字自体に根拠がないわけではありません。
問題なのは、自社の年間休日数や所定労働時間を確認せず、「一般的に173時間らしい」という理由だけで
使っている場合です。月平均所定労働時間が一律173時間と決められているわけではありません。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
秋山社会保険労務士事務所
秋山社会保険労務士事務所の給与計算セカンドオピニオン
https://akiyamasr55.com/kyuuyokeisan
秋山社会保険労務士事務所の労務健康診断
https://akiyamasr55.com/roumukansa
年間休日120日の会社ならどうなるでしょうか
例えば、
1日の所定労働時間 8時間
年間休日 120日
の会社なら、
365日-120日=245日
年間所定労働時間は、
245日×8時間=1,960時間
したがって、
1,960時間÷12か月=約163.33時間となります。
この会社が、昔からそうしているという理由だけで173時間を使用していれば、正しい月平均所定労働時間との
差は約10時間あります。この差を「たった10時間」と考えてはいけません。
月平均所定労働時間を間違えると、残業代まで間違います
月給制の従業員の残業代を計算するときは、月給を1時間当たりの賃金に換算する必要があります。
その計算に使用するのが、月平均所定労働時間です。
例えば、本来163.33時間で計算すべきところを173時間で計算すると、分母が大きくなるため、
1時間当たりの賃金単価が本来より低くなります。
その結果、時間外労働、深夜労働、休日労働などの割増賃金を少なく計算してしまう可能性があります。
そして、それが毎月続けばどうなるでしょうか。
単なる計算ミスではなく、未払い賃金が毎月積み上がっている可能性があります。
従業員が退職した後に計算誤りを指摘され、過去に遡って残業代を再計算することになれば、会社にとって
予想外の負担になることもあります。
従業員が10人、20人といれば、同じ給与計算設定を使用している従業員全員について確認が必要になる
可能性もあります。
固定残業代を導入している会社も注意が必要です
固定残業代を支給しているから大丈夫、というわけでもありません。
例えば、
「30時間分の固定残業代として○万円」
と設定していても、その金額を計算する際の1時間当たりの賃金単価自体が間違っていれば、設定した固定残業代が
本来必要な金額に足りていない可能性があります。
すると、固定残業代を払っているつもりでも、実際には不足額が発生しているということも考えられます。
月平均所定労働時間の設定ミスは、固定残業代の計算にも影響する可能性があります。
最低賃金の判定にも月平均所定労働時間を使います
さらに注意したいのが最低賃金です。
時給制の従業員であれば比較的分かりやすいですが、月給制の場合は、月給を時間額に換算して最低賃金以上に
なっているか確認します。
その際にも、月給÷1か月平均所定労働時間という計算を行います。
つまり、月平均所定労働時間そのものを間違えていれば、最低賃金のチェックまで間違える可能性があるという
ことです。
会社では最低賃金を上回っていると思っていたのに、正しい月平均所定労働時間で計算し直したところ、
実は最低賃金を下回っていたという可能性もあります。
最低賃金が毎年のように引き上げられている現在、最低賃金に近い給与水準の従業員がいる会社では特に
注意が必要です。
年間休日を増やした会社は設定を確認してください
最近では、人材採用や従業員の定着を目的として年間休日を増やす会社もあります。
例えば、
年間休日105日
↓
年間休日115日
↓
年間休日120日
と変更した場合、年間の所定労働時間も変わります。
ところが、就業規則や年間カレンダーは変更したのに、給与計算ソフトの月平均所定労働時間は昔のまま
ということがあります。
年間休日を変更したら、それで終わりではありません。
給与計算に使用している月平均所定労働時間、残業単価、固定残業代なども合わせて確認する必要があります。
給与計算ソフトは間違いを指摘してくれるとは限りません
「給与計算ソフトを使っているから大丈夫」と思われるかもしれません。
しかし、給与計算ソフトは基本的に登録された設定をもとに計算します。つまり、最初の設定が間違っていれば、
毎月、同じ間違いを正確に繰り返すことになります。
月平均所定労働時間だけではありません。
割増賃金の基礎に含める手当
固定残業代の設定
社会保険料の控除時期
欠勤控除
遅刻・早退控除
最低賃金の確認
など、給与計算には「最初の設定」が重要になる項目が数多くあります。
「何年もこの方法で計算している」ということは、正しいことの証明にはなりません。
むしろ、何年も同じ設定ミスを続けている可能性があるという見方も必要です。
まず「なぜ173時間なのか」を確認してみてください
給与計算で月平均所定労働時間が173時間になっている会社は、一度確認してみてください。
なぜ173時間なのでしょうか。
自社の年間休日数、年間所定労働日数、1日の所定労働時間から計算した結果でしょうか。
それとも、「昔から173時間だったから」でしょうか。
月平均所定労働時間を間違えていると、残業代の計算誤り、未払い賃金、固定残業代の不足、最低賃金の判定ミス
などにつながる可能性があります。
秋山社会保険労務士事務所では、現在行っている給与計算について、月平均所定労働時間、残業単価、
各種手当の取扱いなどを確認する給与計算セカンドオピニオンを行っています。
また、給与計算だけではなく、雇用契約書、就業規則、労働時間管理などを含めて会社の労務管理全体を
確認する労務健康診断も行っています。
「昔からこの計算方法だから大丈夫」ではなく、その数字に根拠があるか。
給与計算で使用している「173時間」から、一度確認してみてはいかがでしょうか。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
秋山社会保険労務士事務所
秋山社会保険労務士事務所の給与計算セカンドオピニオン
https://akiyamasr55.com/kyuuyokeisan
秋山社会保険労務士事務所の労務健康診断