【労務】助成金依存体質の会社、正直かなり危険です
2026年08月29日 11:38
社労士をしていると「何か使える助成金はないですか?」とよく聞かれます。
もちろん、助成金を利用すること自体は悪いことではありません。
要件を満たしていて、会社として必要な取組をするのであれば、使える制度は使えばいいと思っています。
実際、私は人材確保等支援助成金の外国人労働者に関するコースや、両立支援等助成金などは、会社の
職場環境を整えるためにも活用価値のある助成金だと考えています。
ただ、「何か使える助成金はないですか?」が、社労士に会うたび毎回出てくる。
そうなると少し話が変わってきます。
「助成金、いつ入金されるんですか?」
助成金を申請した会社から、「先生、いつ頃入りますか?」と聞かれることは普通にあります。
会社として入金予定を知りたいのは当然です。
しかし、「まだ入らないんですか?」「今月中には入りますよね?」「いつ振り込まれるか分かりませんか?」
と何度も電話がかかってくる。
さらに、「今月、支払いが多いんです」「助成金が入らないとちょっと厳しいんです」という話まで出てくる。
ここまで来ると、私は心配になります。
助成金の入金が少し遅れただけで資金繰りが苦しくなる会社になっていませんか?
助成金は、売上ではありません。毎月決まった日に入ってくるお金でもありません。
申請すれば必ず支給されるというものでもありませんし、審査に時間がかかることもあります。
そのお金を最初からあてにして会社を回しているのであれば、かなり危険です。
「先生の手数料、もう少しまけてもらえませんか?」
さらに気になるのが、助成金の支給が決まった後になって、
「先生の手数料、もう少しまけてもらえませんか?」と言われるケースです。
申請前に報酬額を説明し、納得して依頼していたはずです。
それなのに、いざ助成金が支給される段階になると、「思ったより会社に残らない」
「これだけ先生に払うのはちょっと……」という話になる。
それほど資金に余裕がないのであれば、私はむしろ、そもそも助成金を使って行った取組を、その会社は本当に
継続できるのかという方が気になります。
助成金申請には、制度の確認だけでなく、賃金台帳、出勤簿、雇用契約書、就業規則などの確認や、行政への
申請手続きも必要です。
社労士報酬まで削らないと資金繰りが厳しいのであれば、助成金の話以前に、一度会社の収益構造を確認した
方がいいかもしれません。
助成金が終わっても、その給与を払い続けられますか?
特に注意したいのが、助成金をきっかけに人件費を増やす場合です。
「助成金が出るから社員を増やそう」「助成金が使えるから賃金を上げよう」
「助成金があるから正社員に転換しよう」もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
しかし考えてほしいのは、その後です。例えば、従業員の月給を3万円上げたとします。
助成金は一時的です。しかし、上げた給与は来月も、その次の月も、その翌年も払い続けます。
給与が上がれば会社負担の社会保険料も増えます。残業が発生すれば、割増賃金の単価にも影響します。
一時的にもらえる助成金だけを見て、その後何年も続く人件費を見ていない。
これは経営としてかなり危険です。
助成金を使う前に、「この助成金が1円もなくても、この賃金を払い続けられるか?」
一度考えてみてください。
助成金がないと採用できない会社になっていませんか?
人手不足だから採用したい。でも人件費が高い。
そこで、「採用で何か使える助成金ありませんか?」という話になることがあります。
これも、使える制度があるなら使えばいいと思います。
ただ、助成金がなければ1人採用することもできないという状態なら、その採用は本当に大丈夫でしょうか。
助成金が終了した後も、その従業員には給与を支払います。
会社負担の社会保険料もあります。備品や教育、人件費以外の費用もかかります。
「助成金があるから雇える」ではなく、「助成金がなくても雇える。そのうえで制度が使えるから活用する」
これが本来の順番だと思います。
それでも使う価値のある助成金はあります
私は助成金そのものを否定しているわけではありません。
むしろ、会社が本来やるべき取組を後押ししてくれる助成金なら、積極的に利用すればいいと思っています。
例えば、人材確保等支援助成金の外国人労働者に関するコース。
外国人労働者を採用した会社では、採用して終わりではありません。
就業規則や職場のルールを理解してもらう。相談しやすい環境を整える。
コミュニケーション上の問題を減らす。長く働いてもらえる職場をつくる。
こうした取組は、助成金がなくても会社としてやる意味があります。
その取組を行った結果として助成金まで受給できるのであれば、非常に良い使い方です。
両立支援等助成金も同じです
両立支援等助成金も、私は活用価値のある助成金だと思っています。
従業員が育児休業を取得する。その間の業務を誰が行うのか。復帰後、どのように働いてもらうのか。
周囲の従業員への負担をどう軽減するのか。育児や介護と仕事を両立できる職場をつくることは、人手不足の
時代には重要です。これも、「助成金がもらえるから育休を取らせる」という話ではありません。
従業員が働き続けられる会社をつくる。その取組に対して使える助成金があるなら利用する。
この順番なら、助成金は非常に有効です。
助成金を探す前に、会社の経営状態を見た方がいい場合もあります
社労士に会うたび、「何か助成金ありませんか?」
申請したら、「いつ入金されるんですか?」
支給が決まったら、「先生の手数料をまけてもらえませんか?」
そして助成金が終わったら、「次に使える助成金はありませんか?」
もしこれを繰り返しているのであれば、正直、かなり危険だと思います。
助成金が会社を強くしているのではなく、助成金がないと会社が回らない状態になっている可能性があります。
会社が本来考えるべきなのは、売上をどう増やすのか。利益をどう残すのか。
人件費は適正なのか。社員が定着する職場になっているのか。無駄なコストはないのか。
こうした会社そのものの体力です。
助成金は経営のエンジンではありません
助成金は、会社経営を助けてくれるありがたい制度です。
ただし、会社を走らせるエンジンではありません。
会社として必要な取組を行う。その取組を会社自身の力で継続できる。
そして、使える助成金があれば活用する。このくらいの距離感がちょうどいいと思います。
「何か使える助成金はないですか?」その質問をする前に、「助成金がなくても、この会社は同じ取組を
続けられるか?」一度考えてみてください。
秋山社会保険労務士事務所では、単に「受給できそうな助成金」を探すのではなく、会社の雇用管理や人材活用、
職場環境を確認したうえで、必要な制度をご提案しています。
助成金を取ることを目的にするのではなく、会社を良くする取組の結果として助成金を活用する。
それが、会社にとって一番健全な助成金の使い方ではないでしょうか。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
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