【労務】助成金をもらったのに人手不足?処遇の逆転でエース社員が辞める会社
2026年09月09日 08:22
助成金は、会社にとって非常にありがたい制度です。
採用、正社員化、賃上げ、労働時間の延長、社会保険の加入など、さまざまな場面で活用できます。
しかし、助成金を受給できたからといって、会社経営が必ず良くなるわけではありません。
むしろ、助成金をもらうこと自体が目的になってしまうと、人件費が増え、社内の処遇バランスが崩れ、
結果として優秀な従業員が辞めてしまうことがあります。これは決して珍しい話ではありません。
「助成金がもらえるから正社員にしよう」は危険です
例えば、パート・アルバイトとして勤務している従業員を正社員に転換したり、労働時間を延長したり、
賃金を引き上げたりすることで、助成金の対象になるケースがあります。
もちろん、その従業員が会社にとって必要な人材であり、今後さらに活躍してもらうために待遇を改善
するのであれば、非常に良い制度活用です。
しかし問題なのは、「助成金がもらえるから正社員にしよう」「助成金があるから労働時間を増やそう」
「助成金を取るために賃金を上げよう」という順番になっている場合です。
本来は、その人材が会社に必要か、任せる仕事や責任を増やす、 能力や役割に応じて待遇を上げる。
その結果、利用できる助成金があれば活用するという順番であるべきです。
給与だけ上がって、能力や役割が変わらなかったらどうなる?
ここで会社側が見落としがちなのが、既存社員の目です。
例えば、長年会社を支えている社員がいるとします。
難しい仕事を任され、後輩を指導し、トラブルがあれば対応し、会社の売上にも貢献している。
一方で、助成金を活用するために別の従業員を正社員化し、給与を引き上げたとします。
ところが、その人の仕事内容や能力、責任はそれほど変わっていない。
すると既存社員はどう感じるでしょうか。
「自分はこれだけ仕事しているのに、なんであの人と待遇があまり変わらないの?」
そう思っても不思議ではありません。人は給与の絶対額だけでなく、社内での相対的な公平感も見ています。
このバランスを崩すと、会社にとって最も辞めてほしくない人から不満がたまります。
そしてエース社員から辞めていく
会社にとって本当に痛いのはここです。助成金を使って新たな正社員を増やした。
しかし、その処遇に納得できない既存の優秀な社員が退職してしまった。
そうなると、単純に「1人減ったから1人採用すればいい」という話にはなりません。
優秀な社員が1人でこなしていた仕事を、別の社員では2人必要になることもあります。
結果として、人が辞める→ 採用する→ 人件費が増える→ 教育コストもかかる→ 生産性が下がる
→ さらに現場が疲弊する→ また人が辞めるという悪循環に入ります。
これでは、人手不足を解消するために使った制度が、結果として人手不足を悪化させてしまいます。
社会保険料の会社負担も忘れてはいけません
正社員化や労働時間の延長により、社会保険に加入する従業員が増える場合もあります。
社会保険料は従業員だけが負担するものではありません。会社も健康保険料や厚生年金保険料などを負担します。
つまり、会社から見れば、給与の増加+社会保険料の会社負担が継続的に発生します。
助成金は一定期間受給できても、給与や社会保険料の負担はその後も続きます。
助成金を受給した年だけを見れば得をしているように見えても、3年後、5年後まで考えると、会社の固定費が
大きく膨らんでいることがあります。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
秋山社会保険労務士事務所
秋山社会保険労務士事務所の給与計算セカンドオピニオン
https://akiyamasr55.com/kyuuyokeisan
秋山社会保険労務士事務所の労務健康診断
https://akiyamasr55.com/roumukansa
助成金は「人件費を増やす理由」ではありません
助成金そのものが悪いわけではありません。適切に活用すれば、会社の成長や従業員の待遇改善に非常に役立つ
制度です。問題なのは、会社の人員配置や収益構造を考えず、助成金を受給することだけを目的に労働条件を
変更してしまうことです。
特に中小企業では、数人分の人件費増加でも経営に大きな影響を与えます。
だからこそ、「いくら助成金がもらえるか」だけではなく、「この従業員の役割は何か」「この処遇を既存社員に
説明できるか」「社会保険料を含めた総人件費はいくらになるか」「助成金が終了した後も、この雇用条件を
維持できるか」まで考える必要があります。
助成金を申請する前に、人件費と労務構造を確認しましょう
助成金は、会社経営を助けるための手段です。助成金を受給することが目的になってはいけません。
制度を利用した結果、「給与は上がった」「社会保険料負担も増えた」「優秀な社員は辞めた」
「人手不足はさらに悪化した」では意味がありません。
大切なのは、助成金をもらえるかどうかではなく、その制度を利用した後も会社が継続して利益を
出せるかどうかです。
秋山社会保険労務士事務所では、助成金の申請だけでなく、賃金設計、社会保険料、人員配置、雇用契約、
就業規則などを含め、会社全体の労務構造を確認したうえで制度活用をご提案しています。
助成金を使って従業員の待遇変更を検討されている会社様は、申請する前に一度、将来の人件費まで含めて
確認しておくことをおすすめします。
現在の給与計算が法令や社内規程に沿って適正に行われているかを確認する「給与計算セカンドオピニオン」を
行っています。
また、給与計算だけでなく、労働条件通知書、就業規則、36協定、年次有給休暇管理、社会保険・雇用保険など、
会社全体の労務管理を確認する「労務健康診断」にも対応しています。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
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