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【労務】何のための1年単位の変形労働時間制ですか?正しく給与計算できていますか?

2026年10月06日 09:04

1年単位の変形労働時間制を導入している会社は少なくありません。

繁忙期には労働時間を長めに設定し、閑散期には労働日数や労働時間を減らすなど、

年間を通して労働時間を配分できる制度です。

業務の繁閑が明確な会社では、適切に使えば有効な制度です。

しかし、実務で1年単位の変形労働時間制を採用している会社を見ると、

私はまず二つのことが気になります。

「何のために1年単位の変形労働時間制を使っていますか?」そして、

「その制度に合わせて、本当に正しく給与計算できていますか?」

労使協定を締結した、年間カレンダーも作った、就業規則にも1年単位の変形労働時間制と書いてある。

それだけで安心してはいけません。

1年単位の変形労働時間制は、導入することよりも、導入した後に正しく管理し続けることの方が難しい制度です。

そもそも1年単位の変形労働時間制とは?

労働基準法では、原則として1日8時間・1週40時間が法定労働時間です。

1年単位の変形労働時間制では、1か月を超え1年以内の一定期間を平均して1週間当たりの労働時間が

40時間以内となるように、労働日と各日の労働時間をあらかじめ設定します。

そのため、一定の要件を満たせば、特定の日について1日8時間を超える所定労働時間を設定することも

できます。しかし、「今日は忙しいから9時間勤務にしよう」「仕事が少ないから明日は休みにしよう」

と、会社の都合でその都度自由に変更できる制度ではありません。

あらかじめ勤務日や労働時間を決め、その勤務予定に沿って運用することが前提です。

「1年変形だから8時間を超えても残業ではない」は危険です

よくある誤解があります。「1年単位の変形労働時間制だから、1日8時間を超えて働いても残業代はいらない」

というものです。これは危険な考え方です。

あらかじめ適法に1日8時間を超える労働時間を設定した日であれば、その設定された時間までは直ちに法定時間

外労働になるわけではありません。

しかし、実際の時間外労働の判断はそれだけではありません。

1年単位の変形労働時間制では、日単位、週単位、さらに対象期間全体で労働時間を確認する必要があります。

つまり、「毎日8時間を超えた部分だけ残業として計算すればよい」という単純な給与計算ではありません。

反対に、「1年変形なんだから多少長く働いても残業ではない」という処理も間違いにつながります。

1年単位の変形労働時間制は、残業代を払わなくてよくなる制度ではありません。

年間カレンダーと給与計算、本当につながっていますか?

ここが非常に重要です。

1年単位の変形労働時間制では、日によって所定労働時間が異なる場合があります。

例えば、8時間勤務の日・9時間勤務の日・7時間勤務の日が混在することもあります。

では、その年間勤務カレンダーの内容が、勤怠システムや給与計算に正しく反映されているでしょうか。

年間カレンダーでは9時間勤務の日なのに、勤怠システムでは毎日8時間を超えれば残業として計算している。

反対に、8時間勤務の日に9時間働いているのに、1年変形だからという理由で残業として計算していない。

就業規則では1年変形。年間カレンダーも1年変形。しかし給与ソフトだけ通常の労働時間制。

こうした状態では、制度が正しく運用されているとはいえません。

就業規則・労使協定・年間勤務カレンダー・勤怠管理・給与計算が全部つながっているか。

ここまで確認する必要があります。


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主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府

対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問

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給与ソフトを使っているから安心ではありません

「うちは給与ソフトで自動計算しているから大丈夫です」という会社もあります。

しかし、給与ソフトは会社の労働時間制度を勝手に理解してくれるわけではありません。

設定された条件に従って計算しているだけです。つまり、設定が間違っていれば、毎月自動的に

間違った給与計算を続けることになります。

1年単位の変形労働時間制を採用しているのに、勤怠システムや給与ソフトが通常の労働時間制の

設定になっていないでしょうか。

年間カレンダーを変更したのに、システム側は昨年の設定のままではないでしょうか。

給与ソフトを使っていることと、給与計算が正しいことは別問題です。

途中入社・途中退職者の処理までできますか?

1年単位の変形労働時間制をさらに複雑にしているのが、対象期間の途中で入社した人や退職した人の存在です。

対象期間より短い期間しか勤務しなかった従業員については、実際にその制度のもとで勤務した期間を基準として

一定の場合には割増賃金の清算が必要になります。

例えば、繁忙期に長時間勤務した後、閑散期に入る前に退職したケースです。会社としては、

「年間を通じれば平均週40時間以内になる予定だった」としていても、その従業員は年間を通じて

勤務していません。

途中入社や途中退職まで含めて、きちんと給与計算できているでしょうか。

ここまで来ると、1年単位の変形労働時間制が決して簡単な制度ではないことが分かると思います。

36協定の管理まで必要です

1年単位の変形労働時間制を使っているからといって、時間外労働の管理が不要になるわけではありません。

36協定との整合性も必要です。対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制の対象労働者については、

原則的な時間外労働の限度時間が通常の場合とは異なります。つまり1年単位の変形労働時間制を正しく運用

するには、就業規則・労使協定・年間勤務カレンダー・実際の勤怠・時間外労働・36協定・給与計算

まで一体として管理する必要があります。

正直、かなり優秀な総務・人事体制がなければ安易に使うべきではありません

ここからは実務をしている立場からの意見です。

1年単位の変形労働時間制は、非常に複雑奇怪な制度です。年間カレンダーを作成して終わりではありません。

毎年協定を確認し、勤務予定を管理し、日・週・対象期間の労働時間を把握し、途中入退社にも対応し、36協定を

管理し、それを毎月の給与計算に正しく反映させる必要があります。

これを正確に管理し続けるには、それなりの知識と人員が必要です。

よほどしっかりした総務・人事部門がある会社、または社会保険労務士など外部専門家と連携して運用できる体制が

ある会社でなければ、安易に導入するべき制度ではないと考えています。

「残業代を減らせそうだから」「昔から会社が1年変形だから」「以前の担当者がそうしていたから」

という理由だけで使い続けているのであれば、一度立ち止まって考えるべきです。

複雑な制度を使った結果、給与計算を間違え、未払い残業代が発生したのでは本末転倒です。

給与計算と賃金設計はシンプル・イズ・ベストです

私は、給与計算や賃金設計については、できる限りシンプルな方がよいと考えています。

給与計算は一度だけ行うものではありません。毎月、毎年、会社が続く限り繰り返します。

そこへ、複雑な変形労働時間制・何種類もの手当・分かりにくい固定残業代・社員ごとに違う給与条件
例外だらけの勤務区分を次々と追加していけば、当然、給与計算ミスのリスクは高くなります。

そして担当者が退職した途端、「なぜこの金額になるのか、誰も説明できない」という状態になれば最悪です。

給与計算は職人芸にするべきではありません。

会社が理解できる。担当者が管理できる。従業員に説明できる。誰が計算しても同じ結果になる。

そのくらいシンプルな仕組みが理想です。

複雑な制度を導入することが、高度な労務管理ではありません。

場合によっては、複雑な制度をやめることも労務改善です。

何のために1年単位の変形労働時間制を使っていますか?

現在1年単位の変形労働時間制を採用している会社は、一度確認してみてください。

就業規則と年間カレンダーは一致していますか。年間カレンダーと実際の勤務は一致していますか。

勤怠システムは1年単位の変形労働時間制に対応していますか。給与計算は正しくできていますか。

途中入退社者の清算はできていますか。36協定との整合性は取れていますか。

そして、何より重要なのが、「そもそも、何のためにこの制度を使っているのか?」という質問です。

自社の繁閑に合っており、明確なメリットがあり、正確に管理できる体制もある。

それなら利用する価値があります。

しかし、何となく昔から続けているだけなら、もっとシンプルな労働時間制度へ変更することも選択肢です。

給与計算と賃金設計は、シンプル・イズ・ベストです。制度は、複雑であるほど優れているわけではありません。

正しく運用できてこそ意味があります。

就業規則・労務監査のご相談は秋山社会保険労務士事務所へ

1年単位の変形労働時間制だけでなく、会社の労務管理では、「就業規則にはこう書いてあるのに、実際の運用が違う」

「雇用契約書と給与計算の条件が合っていない」「勤怠管理と残業代計算がつながっていない」

「昔からある制度なので、なぜこのルールになっているのか誰も分からない」といったズレが発生することがあります。

こうしたズレを放置すると、未払い賃金や従業員とのトラブルにつながる可能性があります。


秋山社会保険労務士事務所では、就業規則の作成・改訂、労務監査、労働時間制度の見直し、給与計算ルールの確認

などのご相談を承っています。

単に就業規則だけを見るのではなく、

就業規則・雇用契約・勤怠管理・給与計算・労使協定・実際の運用まで確認し、会社の労務ルール全体にズレがない

かをチェックします。

「うちの1年単位の変形労働時間制、本当に正しく運用できているのか?」

「給与計算は本当に合っているのか?」「就業規則と実際の働き方が合っているのか?」

少しでも気になる会社は、秋山社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。



対応地域:全国対応

主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府

対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問

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