【労務】アルバイトから「夏季手当、私も対象ですよね?」と言われました。御社の賃金規程、大丈夫ですか?
2026年08月23日 18:37
お盆期間中も営業している会社では、従業員の出勤を確保するために「夏季手当」「お盆手当」などを
支給しているケースがあります。例えば、賃金規程に次のような記載があったとします。
「お盆期間中に勤務した職員に対し、1日につき3,000円の夏季手当を支給する。」
ところが会社では、これまで正社員にしか夏季手当を支給していませんでした。
そんなとき、アルバイト従業員から、「賃金規程には“職員”に支給すると書いてありますよね。
私もお盆に勤務しましたが、夏季手当はないんですか?」と言われたら、会社はどう説明するでしょうか。
「アルバイトだから対象外」の一言で済むとは限りません
まず確認したいのが、その賃金規程の適用範囲です。
「この規程は正社員に適用する」と明確に定められているのか。
それとも、単に「職員」「従業員」としか書かれていないのか。
さらに、就業規則の中で「職員」「従業員」がどのように定義されているのかも確認する
必要があります。
会社としては「夏季手当は正社員だけのつもりだった」としても、規程上そのように読めなければ、
従業員から支給を求められる原因になります。
就業規則で定める基準に達しない労働条件を個別の労働契約で定めた場合、その部分が無効となり、
就業規則の基準が適用されることがあります。つまり、賃金規程は単なる社内向けの説明資料では
ありません。
手当の「支給条件」が曖昧になっていませんか?
夏季手当に限った話ではありません。例えば、「年末年始に勤務した職員には特別手当を支給する」
「会社が必要と認めた職員には資格手当を支給する」「一定の業務に従事した従業員には業務手当を
支給する」といった規定です。
問題になるのは、誰が対象なのか、どのような場合に支給するのかが曖昧なまま規程だけ残っている
ケースです。
給与計算担当者は「昔から正社員だけに払っています」。経営者は「アルバイトには払うつもりはありません」
しかし賃金規程を見ると、そんなことはどこにも書いていない。この状態は決して好ましくありません。
「昔からそうしている」は規程の代わりになりません
会社では、長年の慣習によって給与計算が行われていることがあります。
ところが従業員が増え、パート・アルバイト・契約社員など雇用形態が多様になると、
会社が考えているルールと、就業規則・賃金規程に書かれているルールがズレてくることがあります。
そして、そのズレが表面化するのは、多くの場合、従業員から指摘されたときです。
「この手当、私には付かないんですか?」「規程には対象外と書いてありませんよね?」
「去年は支給されたのに今年はなぜ支給されないんですか?」こうなってから慌てて賃金規程を確認
する会社も少なくありません。
パート・アルバイトだから一律に除外すればよいわけでもありません
では、賃金規程を改定して、「夏季手当は正社員にのみ支給する」と書けば、それですべて
解決するのでしょうか。
ここも慎重に考える必要があります。
正社員とパート・有期雇用労働者との待遇差については、その待遇の性質や目的、職務内容、
配置変更の範囲などを踏まえて、不合理な待遇差になっていないか確認する必要があります。
つまり、単純に「雇用形態が違うから支給しない」とだけ考えるのではなく、その夏季手当は
何のために支給しているのかを整理することが重要です。
例えば、お盆という人員確保が難しい期間に実際に出勤したことへの対価として支給している手当で
あれば、同じ日に同じように勤務したアルバイトをなぜ対象外とするのか、説明できる設計になって
いるか確認しておく必要があります。
賃金規程は「作って終わり」ではありません
就業規則や賃金規程を作成した当時は問題がなくても、
従業員の雇用形態が増えた
手当を新設・廃止した
給与計算方法を変更した
昔の規程をそのまま使っている
実際の運用だけ変わっている
といった事情によって、規程と実態がズレていくことがあります。
特に手当関係は、毎月機械的に処理されるため、意外と長期間そのズレに気付かないことがあります。
給与計算を正しく行うためには、給与ソフトの設定だけを見るのではなく、その計算の根拠となっている
就業規則・賃金規程まで確認することが大切です。
御社の賃金規程、大丈夫ですか?
今回のように、「お盆に勤務した職員には1日3,000円支給する」と規定されているにもかかわらず、
「アルバイトには昔から支給していない」というのであれば、一度立ち止まって確認する必要があります。
大切なのは、会社がどういうつもりで運用しているかではなく、規程にどう書かれていて、実際にどう
運用されているか。この2つが一致していることです。
就業規則・賃金規程と実際の給与計算にズレがあると、未払い賃金や従業員とのトラブルにつながることが
あります。
秋山社会保険労務士事務所では、就業規則・賃金規程の見直しだけでなく、実際の給与計算や雇用契約書との
整合性まで確認する労務管理のチェックを行っています。
「規程はあるけれど、今の運用と合っているか分からない」そんな会社こそ、一度確認してみてはいかがでしょうか。
秋山社会保険労務士事務所
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