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【障害年金】パートは扶養の範囲が一番お得? 厚生年金への加入は「もしもの備え」にもなります

2026年08月23日 18:59

パートで働く方から、「扶養の範囲内で働いた方が得ですよね?」という話を聞くことがあります。

確かに、配偶者の扶養の範囲内で働けば、自分で社会保険料を負担しなくて済む場合があります。

そのため、「社会保険に入ると手取りが減る」「できるだけ扶養の範囲内に収めたい」

と考える方も多いでしょう。

もちろん、それも一つの考え方です。

しかし、働き方を“今の手取り”だけで決めてよいのでしょうか。

厚生年金に加入することには、老後の年金を増やすことだけではなく、病気やけがで働けなくなった

ときの保障という側面もあります。

社会保険料は「取られるお金」だけではありません

給与明細を見ると、健康保険料。厚生年金保険料。毎月それなりの金額が差し引かれます。

そのため、「こんなに引かれるなら扶養内の方がいい」と思うのも無理はありません。

ただ、社会保険は単なる負担ではありません。

名前のとおり、“保険”です。何も起きなければ、「毎月保険料を払っているだけ」

に見えるかもしれません。

しかし、病気やけがによって長期間働けなくなったり、生活や仕事に大きな制限が残ったりしたときには、

その意味が変わってきます。

障害年金では「初診日にどの年金制度に入っていたか」が非常に重要です

障害年金を考えるうえで重要なのが、初診日です。

初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師や歯科医師の診療を受けた日のことです。

障害厚生年金は、厚生年金保険の被保険者である間に、その病気やけがの初診日があることが受給要件の一つに

なっています。

つまり、正社員かパートかという呼び方ではなく、初診日に厚生年金へ加入していたかどうかが大きなポイントに

なります。

パート勤務であっても、厚生年金の被保険者である間に初診日があれば、その他の要件を満たすことで

障害厚生年金の対象となる可能性があります。

障害厚生年金には「3級」があります

ここは非常に大きな違いです。障害基礎年金の障害等級は、1級と2級です。

一方、障害厚生年金には、1級、2級、そして3級があります。つまり、障害基礎年金では等級に該当しない

状態でも、厚生年金加入中に初診日がある場合には、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。

「働けないほどではない」「日常生活はある程度できる」しかし、「以前と同じようには働けない」

「仕事に大きな制限がある」そのようなケースで、この違いが重要になることがあります。

扶養の範囲で働いている場合はどうなる?

例えば、配偶者の扶養に入り、国民年金第3号被保険者としてパート勤務をしている期間中に病気の初診日が

あったとします。

この場合、障害年金については、基本的には障害基礎年金の対象となる仕組みです。

障害基礎年金には1級・2級しかありません。

つまり、「厚生年金に入っているかどうか」で、もしものときに対象となり得る障害年金の範囲が変わる

ことがあります。

これは、「扶養内なら社会保険料がかからない」という話だけでは見えてこない部分です。

「毎月の手取り」と「もしもの保障」は別々に考えたい

例えば、扶養内で働けば毎月の手取りは多く残る。

一方で、厚生年金に加入すれば毎月社会保険料を負担する。

これだけを見ると、扶養内の方が得に見えるかもしれません。

しかし人生では、病気・けが・事故・精神疾患・難病。

突然、働き方を変えざるを得なくなることがあります。

そのとき、「初診日に厚生年金に入っていた」という事実が、障害年金の受給内容に影響する可能性が

あります。

だから私は、「扶養内が絶対に得」とも、「社会保険に入った方が絶対に得」とも言いません。

家族構成、収入、働ける時間、健康状態、今後の働き方、老後の年金。そして、もしものときの保障。

全部含めて考える必要があります。

パートだから厚生年金は関係ない、ではありません

社会保険の適用拡大によって、パートやアルバイトでも一定の要件を満たせば、厚生年金や健康保険の

被保険者になるケースが増えています。

その際、「保険料を取られる」というデメリットばかりに目が向きがちです。

しかし、厚生年金への加入には、老齢厚生年金だけでなく、障害厚生年金や遺族厚生年金といった保障もあります。

社会保険は、老後のためだけの制度ではありません。

働いている途中で何かあったときにも、生活を支える制度です。

「扶養を外れたら損」という一言だけで決めないでください

パートの働き方を考えるとき、「130万円を超えたら損」「社会保険に入ったら手取りが減る」

という話だけが一人歩きしがちです。

しかし、今月いくら手取りが残るかだけではなく、これから先、何が起きても生活を守れるか

という視点も持っておいてほしいと思います。

厚生年金に加入することは、単に保険料の負担が増えることではありません。

病気やけがで生活や仕事に大きな制限が生じたときの、「もしもの備え」にもなります。

障害年金は、病気になってから初めて調べる方が非常に多い制度です。

しかし、本当は元気に働いているときこそ、「自分は今、どの社会保険制度に入っているのか」を

知っておくことが大切です。

パートだから扶養の範囲内一択。

そう決める前に、「もしものときの保障」まで含めて、一度考えてみてはいかがでしょうか。


秋山社会保険労務士事務所
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