【労務】求人条件を盛って応募させ、面接で条件を下げる会社。その手法、会社の信用を失います。
2026年09月06日 15:19
求人票には月給30万円と書いたけれど、面接では20万円を提示する。
残業はほとんどないと掲載したが、実際には毎月かなりの残業がある。
完全週休二日制と掲載したが、実際は違う。
応募者を集めるため、求人票には魅力的な条件を記載し、面接の段階で実際より低い
労働条件を提示する。
このような採用方法を、単なる“求人テクニック”だと考えてはいないでしょうか。
しかし、求人票と面接時の説明が異なる場合、会社は法的な問題だけでなく、採用失敗や
企業イメージの悪化といった大きなリスクを抱えることになります。
求人票と異なる条件を提示すること自体が、直ちに違法とは限らない
求人票や求人広告に書かれた内容が、そのまま当然に労働契約の内容になるとは限りません。
採用選考の結果や本人の経験、能力などを踏まえ、求人票とは異なる条件を提示することもあり得ます。
ただし、募集時に示した労働条件を変更、削除、追加する場合には、変更後の内容を応募者に明示する
必要があります。
求人票では月給30万円と記載していたにもかかわらず、面接で理由も説明せずに月給20万円を提示する
ような対応は、極めて不誠実な採用と受け取られるでしょう。
リスク1 ハローワークから事実確認や指導を受ける可能性がある
ハローワークの求人票と面接で提示された条件が異なる場合、応募者はハローワークに申し出ることが
できます。
申し出があれば、ハローワークから会社に対して事実確認が行われ、必要に応じて指導を受ける可能性が
あります。
一度「求人票の内容が信用できない会社」と判断されれば、その後の求人活動にも影響しかねません。
リスク2 虚偽求人として刑事罰の対象になる可能性がある
最初から実際に提示するつもりのない好待遇を求人票に記載し、応募者を集めていた場合には、
単なる記載ミスでは済まないことがあります。
虚偽の条件を提示してハローワークや職業紹介事業者に求人を申し込んだ場合、職業安定法により、
6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
「面接で本当の条件を説明したから問題ない」という話ではありません。
応募させる段階で、実態と異なる条件を意図的に示していたかどうかが問題になります。
リスク3 求人票の条件で雇用契約が成立したと判断される可能性がある
求人票は、常に単なる参考資料として扱われるわけではありません。
裁判例では、採用時に求人票とは異なる条件へ変更することについて、応募者との明確な合意が
ない場合、求人票に記載された条件が労働契約の内容になると判断される可能性が示されています。
例えば、求人票では「期間の定めなし」と記載していたにもかかわらず、入社直前になって1年契約の
労働条件通知書に署名させたケースでは、署名が本人の自由な意思によるものではないとして、
条件変更への同意が否定された裁判例もあります。
会社側が労働条件通知書に署名をもらっていたとしても、それだけで安全とは限りません。
変更理由や説明の時期、応募者が自由に判断できる状況だったかどうかまで見られます。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
秋山社会保険労務士事務所
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リスク4 応募者に辞退され、採用コストが無駄になる
求人票を見て応募した人にとって、面接で条件を下げられることは「話が違う」と感じる典型的な場面です。
仮に法的なトラブルにならなかったとしても、優秀な応募者ほど、その場で会社に見切りをつけます。
求人広告費、面接時間、採用担当者の人件費をかけた結果、応募者に不信感だけを与えて辞退される。
これでは、採用活動に費用をかけながら、自ら応募者を遠ざけているようなものです。
リスク5 入社しても早期退職につながる
応募者が生活のために条件変更を受け入れ、入社したとしても安心はできません。
「求人票と違う条件で入社させられた」という不満は、入社初日から残ります。
その後、少しでも会社に不満が生じれば、
「やはり信用できない会社だった」
という判断につながり、早期退職する可能性が高くなります。
採用できた人数だけを見て成功と考えるのではなく、入社後に定着しているかまで確認しなければなりません。
求人票は、応募者との最初の約束です
人が集まらないからといって、求人票の条件を実態より良く見せても、採用問題は解決しません。
一時的に応募者が増えたとしても、面接辞退、内定辞退、早期退職、口コミ悪化といった形で、後から
大きな代償を支払うことになります。
求人票を作成するときは、少なくとも次の内容を確認しましょう。
・基本給と各種手当を正しく区別しているか
・固定残業代の時間数と金額を明示しているか
・雇用形態や契約期間が実態と一致しているか
・試用期間中の条件を記載しているか
・勤務時間、休日、残業の実態と食い違っていないか
・求人票、面接時の説明、労働条件通知書の内容が統一されているか
求人票は、単なる応募者集めの広告ではありません。
応募者が会社を信用できるかどうかを判断する、最初の重要な資料です。
好待遇で釣ってから条件を下げる採用では、人は定着しません。
採用できない原因が待遇そのものではなく、求人票や労働条件の伝え方にあるケースもあります。
当事務所では、求人票、労働条件通知書、雇用契約書の内容が一致しているかを確認し、採用後のトラブルを
防ぐための見直しを行っています。
求人を出しても辞退が多い、採用してもすぐに退職されるという会社は、一度、募集条件から見直してみては
いかがでしょうか。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
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