【労務】面接で待遇ばかり聞く応募者、本当に印象が悪いですか?
2026年09月05日 09:25
採用面接で、「給与はいくらですか?」「残業は月にどれくらいありますか?」
「有給休暇は取りやすいですか?」「賞与はありますか?」「昇給はありますか?」
「休日出勤はありますか?」「転勤はありますか?」このように、労働条件について細かく質問してくる応募者が
います。会社側からすると、「この人、待遇のことばかり聞くな」「仕事内容より条件しか見ていないのでは?」
と思ってしまうこともあるでしょう。
しかし私は、必ずしも悪いことだとは思いません。
むしろ、御社で長く働きたいからこそ、入社前に根掘り葉掘り労働条件を確認しているのではないでしょうか。
長く働くつもりだからこそ、条件を確認する
数か月だけ働くつもりなら、細かな条件まで気にしない人もいるでしょう。
しかし、この会社で何年も働けるだろうか、この給与で生活していけるだろうか、残業時間は無理なく続けられる
範囲だろうか、家庭と仕事を両立できるだろうか、休日はきちんと確保できるだろうか。と考えれば、給与や休日、
残業、賞与、昇給について質問するのは自然なことです。
会社が応募者の経歴や能力を確認するのと同じように、応募者も会社の労働条件を確認しています。
採用面接は、会社が応募者を選ぶ場であると同時に、応募者が「この会社で長く働けるか」を確認する場でもあります。
むしろ、入社後に「聞いていた話と違う」となる方が困りませんか?
採用後のトラブルでよく問題になるのが、「面接で聞いていた条件と違う」という認識のズレです。
例えば、「残業はほとんどないと聞いていたのに、毎日残業がある」「土曜日は休みだと思っていた」
「賞与は毎年出ると思っていた」「昇給があると聞いていた」「転勤はないと思っていた」
会社側は、「そんな意味で言ったつもりではない」と思っていても、従業員側は、「面接ではそう聞きました」
となる。
こうなると、入社後に揉める原因になります。それなら、面接の段階で、「残業はどれくらいありますか?」
「賞与は必ず支給されるのですか?」「休日出勤は年間何回くらいありますか?」と聞いてもらった方が、会社側も
正確に説明できます。
条件を細かく聞く応募者の方が、ミスマッチを防ぎやすい
会社側からすると、待遇について細かく聞かれると少し面倒に感じるかもしれません。
しかし、入社前にしっかり確認してもらえば、「その条件なら働けます」「その条件では難しいです」
と判断してもらえます。もし条件が合わず、面接段階で辞退されたとしても、それは必ずしも悪いことではありません。
条件が合わないまま入社してもらい、数週間後。数か月後。「思っていた会社と違いました」と言われて退職される方が、会社の負担は大きくなります。求人広告を出す。面接をする。採用手続きをする。仕事を教える。ようやく覚え始めたところで退職。そして、また求人を出す。これでは採用コストも教育時間も無駄になります。
採用することだけが採用成功ではありません。入社後に長く働いてもらってこそ、採用が成功したと言えるのではない
でしょうか。
問題は「待遇を聞く応募者」ではなく、会社が答えられないことです
応募者から、「残業は何時間くらいですか?」と聞かれたとします。そのとき、「まあ、そんなにないですよ」
と答える。「賞与はありますか?」と聞かれて、「業績が良かったら出しますよ」と答える。
「土曜日は休みですか?」と聞かれて、「たまに出てもらうこともあります」と答える。
こうした曖昧な説明が、後々の認識違いにつながることがあります。残業が「そんなにない」とは月何時間なのか。
賞与は制度としてあるのか、業績によって支給しない場合があるのか。
土曜日出勤は年間何日程度あるのか。できるだけ具体的に説明した方が、お互いに安心できます。
待遇を細かく聞かれることより、待遇について会社側が正確に説明できないことの方が問題です。
求人票・面接・雇用契約書・実際の勤務条件は一致していますか?
採用時のトラブルを防ぐためには、会社が応募者に伝える内容を一致させることが重要です。
求人票では「完全週休2日制」。面接では「たまに土曜日に出てもらいます」。
雇用契約書では土曜日が所定労働日。実際には毎月土曜日出勤がある。これでは、どこかで「話が違う」となります。
給与も同じです。求人票では月給25万円。実際には、基本給20万円。固定残業代5万円。
という構成なら、その内容をきちんと説明する必要があります。
採用時には、
求人票
↓
面接時の説明
↓
労働条件通知書・雇用契約書
↓
実際の勤務
この内容が一致していることが大切です。
人手不足だからこそ、条件をぼかして採用しない
人手不足になると、「せっかく応募してくれた人を逃したくない」という気持ちが強くなります。
そこで、「残業が多いことはあまり言わないでおこう」「土曜日出勤のことは入社してから説明しよう」
「賞与については期待させておこう」となってしまうと、結局あとで問題になります。
仮にそれで入社してもらえても、条件を知った瞬間に辞められたら意味がありません。
採用人数を増やすことよりも、入社前に会社と応募者の認識を合わせること。これは人材定着の第一歩です。
「条件ばかり聞く人」と決めつける前に
給与・休日・残業・有給休暇・賞与・昇給・転勤・こうした質問をたくさんされても、「条件にうるさい人だ」
とすぐに決めつける必要はありません。
むしろ、「この会社で長く働くために、自分が納得できる条件か確認している」と考えることもできます。
何も聞かずに入社して、あとから不満を言われるより、入社前に疑問点を全部聞いてもらった方が、会社としても
説明する機会ができます。会社にとっても応募者にとっても、その方が健全です。
採用トラブルは、入社前から防げます
労務管理というと、採用後から始まるものだと思われがちです。
しかし実際には、求人票を作るところ。面接で労働条件を説明するところ。
労働条件通知書や雇用契約書を交付するところ。この段階から、すでに労務管理は始まっています。
「求人票と雇用契約書の内容が合っているか分からない」
「固定残業代をどのように説明すればよいか分からない」
「シフト制の労働条件をどう契約書に書けばよいか分からない」
「面接で説明している条件と就業規則が合っているか不安」
このような状態で採用を続けているのであれば、一度確認しておいた方がよいでしょう。
入社してから「聞いていない」と言われる前に
秋山社会保険労務士事務所では、労働条件通知書・雇用契約書の作成や見直し、就業規則の整備など、採用時の労務管理についてのご相談にも対応しています。
また、求人から採用、労働時間、給与計算、就業規則など、会社の労務管理全体を確認する労務健康診断も行っています。応募者から待遇について根掘り葉掘り聞かれたとき、御社は、その質問に自信を持って正確に答えられるでしょうか。待遇を細かく聞く応募者を警戒するよりも、求人票、面接での説明、雇用契約書、実際の労働条件が一致しているか。まず会社側が確認してみてはいかがでしょうか。
「入社してから話が違う」と揉める前に、入社前にしっかり話をしておく。
その方が、会社にとっても、長く働きたい応募者にとっても良い採用につながると思います。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
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