【労務】AIで作った就業規則、そのまま労基署へ出しますか? 思わぬ落とし穴にはまる前に社労士のチェックを
2026年09月15日 08:32
就業規則なんて、今はAIに作らせればいいんでしょ?そう考える経営者の方も増えていると思います。
確かに、生成AIに会社の業種や従業員数、勤務時間、休日などを入力すれば、それらしい就業規則は
数分で作れます。以前であれば何時間もかかっていた文章作成を、短時間で行えるようになりました。
私自身、AIを使って就業規則のたたき台を作ること自体は悪いことだとは思いません。
問題はその後です。AIが作った就業規則をほとんど確認せず、そのまま会社の就業規則として使ってしまう。
ここには、思わぬ落とし穴があります。
AIは御社の「実際の運用」を知りません
AIが文章を作ることと、その就業規則が御社で実際に使えることは別問題です。
会社の実態と一致していることが重要です。AIは御社の実態を知りません。
「会社に有利そうな条文」を入れればよいわけではありません
AIに、「できるだけ会社に有利な就業規則を作ってください」と指示したくなる経営者の方もいらっしゃる
かもしれません。しかし、就業規則は何を書いても有効になるわけではありません。
例えば、「会社の許可なく残業した場合は残業代を支給しない」
「会社は自由に従業員を降格できる」「会社が必要と判断した場合は即日解雇できる」
などと書いたとしても、就業規則に書いてあるから当然にそのまま通用するとは限りません。
法律、労働契約、判例、実際の運用などとの関係を考える必要があります。
文章だけ強くしても、いざ労務トラブルになったときに使えなければ意味がありません。
懲戒規定は特に注意が必要です
就業規則を作る目的の一つに、問題行動を起こした従業員への対応があります。
ところが、AIで作った就業規則を見ると、懲戒事由が一般的な内容だけになっている場合があります。
御社で実際に起こり得る問題が規定されていなければ、いざというときに困る可能性があります。
一方で、何でも懲戒事由に書けばよいわけでもありません。
その会社に必要な規定を見極める必要があります。
労働時間制度は「条文を入れれば完成」ではありません
変形労働時間制、フレックスタイム制、固定残業代などは特に注意が必要です。
AIに、「1か月単位の変形労働時間制の規定を入れてください」と頼めば、それらしい文章は作れます。
しかし、実際には勤務表の作り方や労働時間の特定方法、労使協定その他の手続きなど、就業規則以外の運用まで
整える必要がある制度があります。就業規則に制度名だけ書いて、「これで変形労働時間制になった」
と思っていたら危険です。制度は条文だけではなく、運用までセットです。
秋山社会保険労務士事務所の就業規則
https://akiyamasr55.com/syuugyoukisoku
労基署へ提出できたから安心、ではありません
ここは特に注意していただきたいところです。
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・変更時に労働基準監督署への届出が必要になります。
しかし、労働基準監督署で受け付けてもらえた=内容すべてについて「適法です」「この運用で問題ありません」と
保証された、という意味ではありません。受付印があるから絶対に大丈夫。
そのように考えるのは危険です。実際に労務トラブルが発生したときには、就業規則の条文だけでなく、雇用契約書、
賃金規程、労使協定、給与計算、勤務実態なども含めて問題になることがあります。
AIを使うこと自体が悪いのではありません
私は、「就業規則をAIで作ってはいけません」と言いたいわけではありません。
むしろ、たたき台を作る道具としてAIを活用するのは一つの方法です。
ただし、AIで作成することと、社会保険労務士による確認が不要になることは別の話です。
AIの便利さを活かしながらリスクを減らすことができます。
「作成済みだから社労士には頼めない」と思わないでください
すでにAIで就業規則を作ってしまった会社でも、最初から全部作り直す必要があるとは限りません。
「AIで作ったので、一度チェックしてほしい」
「インターネットのひな型を使っているが、会社に合っているか確認してほしい」
「昔作った就業規則に、自分で条文を追加してきた」
そのような相談でも構いません。
ゼロから作成を依頼するのではなく、現在ある就業規則を社労士に点検してもらう。
これも社労士の使い方の一つです。
就業規則は「提出する書類」ではなく「会社で使うルール」です
就業規則は、労基署へ提出してファイルにしまっておくための書類ではありません。
採用・給与・労働時間・休職・退職・懲戒・ハラスメント・会社で人を雇えば、さまざまな場面で関係してきます。
だからこそ、見た目が立派な就業規則より、御社で実際に使える就業規則であることの方が重要です。
AIで作成した就業規則がある会社も、一度立ち止まって確認してみてください。
その就業規則、本当に御社の働き方と合っていますか?
思わぬ落とし穴にはまる前に、社労士によるチェックを利用するのも一つの方法です。
秋山社会保険労務士事務所では、就業規則の新規作成だけでなく、既存の就業規則・自社作成の就業規則・AI等で
作成した就業規則の内容確認や改訂についてもご相談いただけます。
「全部作り直す必要があるのか分からない」という段階からでも、まずは現在の規則を確認いたします。
秋山社会保険労務士事務所の就業規則
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