【労務】小さな会社ほど「定着率」を意識してください ―人が育つ会社には、また人が集まる―
2026年08月23日 18:35
「人が足りない」「求人を出しても応募が来ない」「せっかく採用しても、すぐ辞めてしまう」
こうした悩みを抱えている中小企業は少なくありません。
人手不足になると、どうしても会社は「採用」に目を向けます。
求人広告を出す。ハローワークに求人を出す。人材紹介会社を使う。
採用条件を見直す。もちろん、採用活動は大切です。
しかし、特に小さな会社ほど、採用と同じくらい、あるいはそれ以上に意識していただきたいことがあります。
それが、「今いる人が辞めない会社になっているか」という視点です。
小さな会社では、1人の退職が大きなダメージになる
従業員が100人いる会社で1人辞める場合と、10人の会社で1人辞める場合では、会社への影響は同じでは
ありません。
10人の会社で1人辞めれば、単純に人数だけ見ても大きな割合を占めます。
しかも、その1人が経験豊富な従業員だった場合、「新しく1人採用したから人数は元に戻った」
では済みません。その従業員が持っていた、業務経験・顧客との関係・社内ノウハウ・後輩への教育力
・トラブル対応力まで一緒に会社から失われるからです。
小さな会社ほど、一人ひとりが担っている役割は大きくなります。
だからこそ、定着率を経営上の重要な数字として考える必要があります。
人が辞めると、採用コストだけでは済まない
従業員が退職すると、新しい人を採用しなければなりません。
求人広告費や人材紹介料が発生することもあります。
しかし、会社が負担するコストはそれだけではありません。
求人票を作る。応募者に対応する。面接する。入社手続きをする。仕事を教える。
新人が仕事を覚えるまで、先輩従業員がフォローする。
その間、教える側の仕事も止まります。
さらに、新しい従業員が一人前になるまでには時間がかかります。
ようやく仕事を覚えてきたと思ったら、その人もまた辞めてしまう。
これを繰り返していると、会社はいつまで経っても人材育成に追われ、ノウハウが蓄積されません。
人が定着する会社では、人が育つ
反対に、人が定着する会社では何が起こるでしょうか。
従業員が長く働く。仕事を覚える。経験が増える。難しい仕事を任せられるようになる。
後輩を育てられる人が増える。会社の中にノウハウが蓄積される。
この積み重ねによって、組織全体の力が少しずつ高まっていきます。
つまり、人が定着する→ 人が育つ→ 仕事の質が上がる→ 会社が安定する
という好循環が生まれます。そして、こうした会社にはさらに人が集まりやすくなります。
良い人材は「人が育つ会社」を見ています
求職者が会社を選ぶ基準は、給与だけではありません。
「この会社で長く働けそうか」「きちんと教えてもらえるか」「職場の雰囲気はどうか」
「従業員が大切にされているか」こうした部分も見ています。
従業員が次々辞める会社より、長く働いている人が多く、人が育っている会社の方が、当然安心感があります。
既存従業員が定着していること自体が、採用力になることもあります。
だから、定着率を上げることは、採用力を上げることにもつながると考えるべきです。
「人が辞めるのは本人の問題」で終わらせない
もちろん、退職理由には様々なものがあります。
結婚。
転居。
家庭事情。
キャリアアップ。
会社ではどうすることもできない理由もあります。しかし、毎年のように人が辞める。
同じ部署だけ人が定着しない。採用しても短期間で退職する。
こうした状態が続いているのであれば、「最近の若い人はすぐ辞める」「本人に根性がなかった」
だけで終わらせず、会社側にも原因がないか確認する必要があります。
人が辞める原因は、派手な問題とは限りません
人材定着というと、「給与を上げないといけない」「福利厚生を充実させないといけない」
と思われがちです。
もちろん、それらも重要です。
しかし実際には、もっと基本的なところで従業員の信頼を失っているケースがあります。
例えば、給与計算を頻繁に間違える、社会保険や雇用保険の手続きが遅い、残業代の計算方法が曖昧、
有給休暇の管理ができていない、就業規則と実際の運用が違う、雇用契約書の内容が不明確、上司によって
ルールが変わる、従業員に説明できない社内制度が多い。こうしたことが積み重なると、
「この会社、大丈夫なのか」という不信感につながります。
従業員にルールを守らせるなら、会社もルールを守る
会社は従業員に、「遅刻するな」「期限を守れ」「会社のルールに従え」と求めます。
それ自体は当然です。
しかしその一方で、給与計算が間違っている。社会保険手続きが遅れている。
就業規則と実際の運用が違う。従業員からすれば納得しにくいでしょう。
従業員にルールを守ってもらいたいのであれば、会社自身もルールを守る。
人材定着の第一歩は、案外こうした基本的なところにあります。
採用にお金をかける前に、会社の中を確認する
人が辞める。また求人を出す。新しい人を採る。また辞める。
この状態を繰り返しているのであれば、採用方法だけを変えても根本的な解決にならない可能性があります。
いわば、穴の開いたバケツに水を入れ続けている状態です。
まず確認すべきなのは、「なぜ今いる人が辞めるのか」「会社の労務管理に問題はないか」「人が育つ環境に
なっているか」ということです。
人が育つ環境には、また人が集まる
人材は、採用した瞬間に完成しているわけではありません。
会社の中で経験を積み、仕事を覚え、周囲から学びながら成長していきます。
だからこそ、人を採ることだけではなく、人を育て、定着させることまで考える必要があります。
人が定着する。人が育つ。会社に知識と経験が残る。仕事の質が高まる。
職場が安定する。そして、そんな会社には新しい人も集まりやすくなる。
この好循環を作れるかどうかは、特に小さな会社にとって非常に重要です。
小さな会社ほど「定着率」を経営課題として考える
人材定着は、人事担当者だけの問題ではありません。
小さな会社では、会社の成長そのものに直結する経営課題です。
採用力を高めることも大切です。
しかし、その前に、
「今いる従業員が、この会社で働き続けたいと思える状態になっているか」
を一度確認してみてはいかがでしょうか。
秋山社会保険労務士事務所では、給与計算、就業規則、雇用契約書、社会保険手続き、労働時間管理などを
個別に確認するだけではなく、人が辞める原因が会社の労務構造にないかという視点から確認しています。
「人を採用しても定着しない」「退職者が続いている」「自社の労務管理を一度まとめて点検したい」
という事業所様は、お気軽にご相談ください。
小さな会社ほど、採用人数だけではなく定着率を意識する。
人が育つ会社には、また人が集まります。
そして、その積み重ねが会社の発展につながります。
対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問
秋山社会保険労務士事務所