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【労務】清算期間3か月のフレックスタイム制、給与計算きちんとできていますか?

2026年08月25日 08:19

フレックスタイム制という言葉は、よく聞くようになりました。

しかし、実際に導入している会社はそれほど多くありません。

厚生労働省の「令和7年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を採用している

企業の割合は8.3%です。つまり、企業全体で見れば1割にも達していません。

そのフレックスタイム制の中でも、清算期間を3か月に設定している会社となれば、

給与計算はさらに特殊になります。

そこで確認していただきたいことがあります。

清算期間3か月のフレックスタイム制、本当に正しく給与計算できていますか?

「3か月終わってから残業を計算すればいい」ではありません

3か月のフレックスタイム制と聞くと、「3か月分の労働時間を最後にまとめて計算すればいい」

と思われるかもしれません。しかし、そうではありません。

清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制では、清算期間を1か月ごとに区分し、それぞれの

期間について週平均50時間を超えて働いた時間を時間外労働として計算する必要があります。

つまり、3か月清算だからといって、残業代の計算まで3か月後に全部まとめて行えばよいわけではありません。

ここが、通常のフレックスタイム制の給与計算と比べても分かりにくいところです。

1か月目に働きすぎた分を、3か月目で帳消しにはできません

例えば、清算期間が4月から6月までの3か月だったとします。

4月は非常に忙しく、長時間勤務。

5月、6月は仕事が落ち着いて、比較的短い勤務時間だった。

3か月トータルで見ると、それほど長時間労働になっていない。

この場合、「3か月合計では収まっているから、4月の残業代もいらない」とはなりません。

4月について週平均50時間を超えて働いていれば、その超えた時間は4月の時間外労働として扱う必要があります。

後の月で勤務時間が短くなったからといって、先の月ですでに発生した時間外労働が消えるわけではありません。

ここを間違えると、未払い残業代につながります。

そして最終月には、さらにもう一度計算があります

これだけでも十分ややこしいのですが、3か月目にはさらに精算があります。

清算期間の最終の期間では、各月の週平均50時間超の判定に加えて、

清算期間全体の総実労働時間が、清算期間全体の法定労働時間の総枠を超えていないか

も確認します。

そして、清算期間全体で超過がある場合には、それまでの月ですでに時間外労働として扱った時間を

除いたうえで、追加の時間外労働を算定します。

つまり3か月フレックスの給与計算は、毎月チェックする。最後に3か月全体でもチェックする。

この二段構えになります。

給与ソフトを「フレックス」に設定しただけで安心していませんか?

実務で怖いのはここです。

就業規則にフレックスタイム制を書いた。

労使協定も作った。

勤怠システムも導入した。

給与ソフトの勤務区分も「フレックス」にした。

これで安心していないでしょうか。

問題は、その給与ソフトが、清算期間3か月の時間外労働を正しく計算する設定になっているかです。

「フレックスタイム制」という設定があるからといって、会社で定めた清算期間や総労働時間、各月の

労働時間の判定まで自動的に正しく処理されるとは限りません。

制度を導入した人・勤怠を管理する人・給与計算をする人。それぞれ別の人が担当している会社では、

制度は正しいのに、給与計算だけ間違っているということも起こり得ます。

清算期間を長くするほど、会社側の管理は簡単になるわけではありません

3か月のフレックスタイム制には、繁忙月と閑散月の労働時間をある程度調整できるメリットがあります。

一方で、会社側の管理まで楽になるわけではありません。

むしろ、毎月の実労働時間の確認、週平均50時間超の確認、清算期間全体の総枠の確認、時間外労働の上限規制、

割増賃金の計算、勤怠システムと給与ソフトの設定、といった管理が必要になります。

清算期間が1か月を超える場合には、労使協定について所轄労働基準監督署への届出も必要です。

「3か月まとめて見られるから楽そう」という理由だけで導入する制度ではありません。

制度より怖いのは「誰も計算方法を説明できない」状態です

会社に聞いてみてください。

「うちの3か月フレックス、残業時間はどうやって計算していますか?」この質問に、

「給与ソフトが勝手にやっています」「前任者からこの設定を引き継いでいます」

「3か月経ったらまとめて計算しています」という答えしか返ってこないのであれば、一度確認した方が

よいかもしれません。

給与計算は、最終的に数字が出てくればよいものではありません。

なぜこの時間が時間外労働になるのか。なぜこの金額の割増賃金になるのか。

その計算根拠を説明できることが大切です。

清算期間3か月のフレックスタイム制、一度給与計算を点検してみませんか?

フレックスタイム制そのものを採用している企業は、現在でも全体の1割未満です。

その中でさらに清算期間を3か月としている会社では、通常の給与計算とは違う管理が必要になります。

制度を導入して数年経っている会社ほど、「昔からこの計算方法だから」と、そのまま処理している

ケースには注意が必要です。

清算期間3か月のフレックスタイム制を導入している会社は、

勤怠データと実際の給与計算結果を、一度突き合わせてみてはいかがでしょうか。

秋山社会保険労務士事務所では、フレックスタイム制をはじめとする労働時間制度の確認、勤怠管理、

給与計算、未払い残業代リスクの点検など、労務監査のご相談を承っております。

制度を作ったところで終わりではありません。
その制度どおりに給与計算できているかまで確認して、初めて適正な運用です。


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