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【労務】基本給を低くして手当を増やす会社が危ない理由

2026年09月06日 15:45

従業員の給与を決める際、

「基本給は低めに設定して、職務手当や調整手当などを上乗せし、総支給額を整えよう」

と考える会社があります。

例えば、月給30万円を支給する場合でも、次のような設計が考えられます。

  • 基本給30万円

  • 基本給20万円+職務手当5万円+調整手当5万円

どちらも総支給額は30万円です。

しかし、基本給を低くし、手当の割合を大きくする賃金設計には、会社側にもさまざまな

デメリットがあります。

1.従業員から「給与を低く見せている」と思われやすい

従業員は、総支給額だけでなく基本給の金額も見ています。

求人票に「月給30万円」と書かれていても、実際には基本給が18万円で、残りが複数の手当という

内容であれば、

「賞与を低く抑えるためではないか」「手当を外して給与を下げるつもりではないか」
「退職金も少なくなるのではないか」と不信感を持たれる可能性があります。

特に最近は、求職者が給与の内訳まで細かく確認する傾向があります。基本給が極端に低い賃金設計は、

採用競争でも不利になりかねません。

2.賞与や退職金が少なくなることがある

会社の賞与規程に、「基本給の2か月分を支給する」

と定めている場合、基本給が低ければ賞与額も少なくなります。

例えば、総支給額が同じ30万円でも、賞与を基本給の2か月分とすると、

  • 基本給30万円の場合:賞与60万円

  • 基本給20万円の場合:賞与40万円

となります。

退職金についても、基本給を基礎として計算する制度であれば、受け取る退職金が少なくなる

可能性があります。

会社としては人件費を抑えられるように見えますが、従業員の定着率や仕事への意欲を低下させる

原因にもなります。

3.手当にすれば残業代が安くなるとは限らない

ここは特に注意が必要です。

割増賃金の計算から除外できるのは、家族手当、通勤手当、住宅手当など、法律で定められた一部の

賃金に限られます。

職務手当、役職手当、資格手当、調整手当などは、原則として残業代を計算する際の基礎賃金に含まれます。

単に「手当」という名前を付けただけで、残業単価から外せるわけではありません。

また、家族手当や住宅手当という名称であっても、家族数や住宅費に関係なく全従業員へ一律に支給

している場合などは、割増賃金の計算から除外できないことがあります。

本来含めるべき手当を除外して残業代を計算していると、未払い残業代が発生するおそれがあります。

4.社会保険料の節約にもならない

基本給を低くして手当を増やしても、原則として社会保険料が安くなるわけではありません。

健康保険や厚生年金保険の標準報酬月額には、基本給だけでなく、役職手当、通勤手当、残業手当など、

労働の対価として継続的に支給される各種手当も含まれます。

そのため、

「基本給を下げて職務手当に振り替えれば、社会保険料を抑えられる」

という考え方は基本的に通用しません。

給与の名称を変えただけでは、社会保険上の報酬額は変わらないのです。


対応地域:全国対応

主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府

対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問

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5.会社の都合で簡単に手当を廃止できるわけではない

会社によっては、

「業績が悪くなったら、調整手当をなくせばよい」

と考えることがあります。

しかし、毎月継続して支給され、雇用契約書や就業規則、賃金規程に定められている手当は、

従業員にとって労働条件の一部です。

会社の判断だけで一方的に減額・廃止すると、不利益変更としてトラブルになる可能性があります。

名称を「調整手当」や「特別手当」としていても、会社が自由に取り外せるとは限りません。

手当を廃止・減額できる条件を規程に書いていたとしても、その内容や運用方法に合理性がなければ、

当然に有効になるわけではありません。

6.最低賃金の計算で除外される手当がある

最低賃金を満たしているか確認するときも、総支給額だけを見てはいけません。

通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外勤務手当などは、最低賃金の計算から除外されます。

そのため、総支給額では最低賃金を上回っているように見えても、対象となる賃金だけで計算

すると最低賃金を下回っているケースがあります。

最低賃金に近い給与水準の会社ほど、基本給と手当の内訳を慎重に確認する必要があります。

7.正社員とパート社員との待遇差を説明しにくくなる

正社員には各種手当を支給し、パート・有期契約社員には支給していない会社もあります。

しかし、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などに不合理な待遇差を

設けることは禁止されています。待遇差がある場合、会社はその理由を説明できるようにして

おかなければなりません。

手当の種類を増やし過ぎると、

「なぜ正社員だけに支給するのか」「この手当は何の対価なのか」「同じ仕事をするパートには、

なぜ支給されないのか」

という説明が難しくなります。

手当を設ける場合は、名称だけでなく、支給目的、対象者、支給条件を明確にすることが大切です。

8.給与計算が複雑になり、ミスが増える

手当の種類が増えるほど、給与計算も複雑になります。

特に注意が必要なのは、

  • 割増賃金の計算に含める手当

  • 最低賃金の計算に含める手当

  • 社会保険の報酬に含める手当

  • 欠勤控除の対象となる手当

  • 休職中や有給休暇取得時にも支給する手当

などの取扱いです。

それぞれの法律上の扱いが同じとは限りません。

賃金規程に支給条件が書かれておらず、担当者の判断だけで処理していると、従業員ごとに取扱いが

異なったり、未払い賃金が発生したりする原因になります。

手当を設けること自体が悪いわけではない

職務内容、役職、資格、勤務場所などに応じて、合理的な手当を設けること自体に問題はありません。

問題となるのは、

  • 基本給を不自然に低く設定している

  • 手当の支給目的が分からない

  • 支給・不支給の基準が決まっていない

  • 手当を残業代の計算から誤って除外している

  • 会社が自由に手当を廃止できると思っている

といったケースです。

賃金制度は、単に総支給額を合わせればよいものではありません。

基本給と手当のバランス、賞与・退職金との関係、残業代の計算方法、最低賃金、社会保険、

従業員への説明のしやすさまで考えて設計する必要があります。

秋山社会保険労務士事務所では、給与体系の見直し、賃金規程の作成・改訂、残業代計算の確認などに

対応しています。

現在の給与体系に不安がある会社様は、お気軽にご相談ください。


対応地域:全国対応

主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府

対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問

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