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【障害年金】障害厚生年金3級の方へ|障害者特例で定額部分だけでなく、加給年金や特別加算が付くこともあります

2026年08月08日 08:16

障害厚生年金3級を受給している方の中には、一定の条件を満たすことで、65歳前の特別支給の

老齢厚生年金に「定額部分」が加わることがあります。

これは、特別支給の老齢厚生年金の「障害者特例」と呼ばれる制度です。

さらに見落としてはいけないのが、定額部分が付くことによって、条件次第では配偶者などを

対象とした「加給年金額」が加算され、配偶者加給年金額には受給者本人の生年月日に応じた

「特別加算」が付く可能性もあることです。

つまり、条件がそろえば、年金額が次のような構成になる可能性があります。

報酬比例部分
+定額部分
+加給年金額
+配偶者加給年金額の特別加算

障害年金だけを見ていると、老齢年金側にあるこうした特例を見落としてしまうことがあります。

障害者特例とは

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として65歳から支給されます。

ただし、一定の生年月日に該当し、厚生年金の加入期間などの要件を満たす方には、65歳前から

「特別支給の老齢厚生年金」が支給されることがあります。

特別支給の老齢厚生年金は、主に次の2つの部分で構成されます。

  • 給与や賞与、厚生年金の加入期間などに応じて計算される「報酬比例部分」

  • 厚生年金の加入月数などに応じて計算される「定額部分」

通常は報酬比例部分だけを受給する年齢であっても、厚生年金の被保険者資格を喪失しており、

障害厚生年金1級から3級に該当する程度の障害状態にある方は、申出により報酬比例部分と定額部分を

合わせて受給できる場合があります。

これが障害者特例です。

なお、これは障害厚生年金そのものに定額部分が上乗せされる制度ではありません。

あくまで、65歳前に受給する特別支給の老齢厚生年金について、定額部分の支給開始を早める制度です。

障害厚生年金3級なら必ず対象になる?

障害厚生年金3級を受給しているからといって、すべての方が障害者特例の対象になるわけではありません。

主に次の条件を確認する必要があります。

特別支給の老齢厚生年金の対象者であること

特別支給の老齢厚生年金は、対象となる生年月日が決められています。

そのため、現在の若い世代が将来すべて利用できる制度ではなく、制度改正に伴う経過措置として

残っている制度です。

厚生年金の被保険者ではないこと

原則として、障害者特例による定額部分を受けるためには、会社を退職するなどして厚生年金の

被保険者資格を喪失している必要があります。

障害者特例によって定額部分が付いた後に再就職し、厚生年金の被保険者となった場合には、

定額部分と加給年金額が支給停止となります。

障害厚生年金1級から3級相当の障害状態にあること

障害者特例の障害状態は、障害厚生年金の1級、2級または3級に該当する程度とされています。

障害厚生年金3級を受給している方は、この障害状態の要件に該当する可能性があります。

定額部分が付くと、加給年金額も付く可能性があります

加給年金額とは、厚生年金の加入期間が原則20年以上ある方が、定額部分を含む特別支給の

老齢厚生年金や65歳以後の老齢厚生年金を受けられるようになったときに、一定の配偶者や子がいる

場合に加算される年金です。

障害者特例によって定額部分が発生すると、加給年金額の支給要件を満たす可能性も出てきます。

主な確認事項は次のとおりです。

  • 本人の厚生年金加入期間が原則20年以上あること

  • 生計を維持している配偶者または子がいること

  • 配偶者が原則として65歳未満であること

  • 配偶者や子の収入が一定の基準未満であること

  • 配偶者自身が一定の老齢厚生年金や障害年金を受給していないこと

したがって、障害者特例の検討では、定額部分だけを計算して終わりではありません。

本人の家族構成、配偶者の年齢、収入、年金受給権まで確認する必要があります。

配偶者加給年金額には特別加算が付くこともあります

加給年金額の対象となる配偶者がいる場合、受給者本人の生年月日に応じて「配偶者加給年金額の特別加算」が

付くことがあります。

令和8年度では、配偶者に対する基本の加給年金額に加え、受給者本人の生年月日に応じた特別加算が

設定されています。

たとえば、昭和18年4月2日以後に生まれた受給者については、配偶者の加給年金額と特別加算を

合わせた年額は42万円を超えます。

そのため、条件によっては、

報酬比例部分と定額部分だけの比較では、どちらの年金を選ぶべきか正しく判断できない

ことがあります。

加給年金額や特別加算まで含めた総額で、障害厚生年金と特別支給の老齢厚生年金を比較する必要があります。

障害厚生年金と老齢厚生年金を両方そのまま受け取れるわけではありません

65歳前の障害厚生年金と特別支給の老齢厚生年金は、原則として両方を満額受け取ることはできません。

基本的には、どちらか一方を選択して受給します。

そのため、障害者特例を利用できるからといって、必ず特別支給の老齢厚生年金を選ぶ方が有利とは限りません。

比較するときは、次の金額を確認します。

障害厚生年金を選んだ場合

  • 障害厚生年金3級の年金額

  • 最低保障額の適用

  • 支給停止や更新の状況

特別支給の老齢厚生年金を選んだ場合

  • 報酬比例部分

  • 障害者特例による定額部分

  • 配偶者や子の加給年金額

  • 配偶者加給年金額の特別加算

一見すると障害厚生年金の方が高くても、配偶者加給年金額や特別加算まで含めると、特別支給の

老齢厚生年金の方が高くなる可能性もあります。

反対に、厚生年金の加入期間が短い場合や加給年金額の対象者がいない場合は、障害厚生年金の方が

有利なこともあります。

障害者特例は自動的に付くとは限りません

障害者特例や加給年金額は、条件を満たしていても、自動的にすべて反映されるとは限りません。

原則として、本人からの申出や届出が必要です。

特に確認したいのは、次の点です。

  • 障害者特例の申出をしているか

  • 配偶者や子について加給年金額の届出をしているか

  • 戸籍や住民票、所得証明書などの必要書類を提出しているか

  • 障害年金と老齢年金の選択届を適切に提出しているか

制度を知らずに手続きをしていなければ、本来受け取れるはずの年金を受け取れない可能性があります。

再就職すると定額部分と加給年金額が止まることがあります

障害者特例による定額部分は、厚生年金の被保険者ではないことを前提とした特例です。

そのため、特例の適用後に再就職して厚生年金に加入した場合には、定額部分と、それに伴う加給年金額が

支給停止となります。

また、障害状態が障害厚生年金3級に該当しない程度まで軽くなった場合も、定額部分や加給年金額が

支給停止となることがあります。

年金額だけでなく、今後の働き方や再就職の予定も含めて検討することが大切です。

65歳になると受給関係が変わります

障害者特例は、65歳前の特別支給の老齢厚生年金に関する制度です。

65歳になると、特別支給の老齢厚生年金は終了し、原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金へ切り替わります。

65歳以後は、障害年金と老齢年金について、65歳前とは異なる併給や選択のルールが適用されます。

また、配偶者が65歳になると、配偶者加給年金額は原則として終了し、配偶者自身の老齢基礎年金に

振替加算が付く場合があります。

したがって、障害者特例を利用する方は、65歳到達時にも改めて年金の組み合わせを確認する必要があります。

まとめ

障害厚生年金3級を受給している方は、一定の条件を満たせば、65歳前の特別支給の老齢厚生年金に

ついて障害者特例を利用できることがあります。

そして、障害者特例で定額部分が付く場合には、条件次第で次の加算も受けられる可能性があります。

  • 配偶者や子に対する加給年金額

  • 配偶者加給年金額の特別加算

つまり、比較すべきなのは定額部分だけではありません。

報酬比例部分、定額部分、加給年金額、特別加算まで含めた年金総額で判断する必要があります。

障害厚生年金3級を受給しており、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に近づいている方は、

次の点を確認してみましょう。

  • 障害者特例の対象になるか

  • 厚生年金の加入期間が20年以上あるか

  • 65歳未満の配偶者がいるか

  • 加給年金額や特別加算が付くか

  • 障害厚生年金と老齢厚生年金のどちらが有利か

年金制度は、一つの制度だけを見ても最も有利な受け取り方は判断できません。

障害年金と老齢年金、家族加算まで横断して確認することが重要です。