【障害年金】障害年金は何年前まで遡って受給できる?請求時効と5年遡及を解説
2026年07月28日 12:46
障害年金について調べていると、
「障害年金は5年分まで遡って受給できる」
という説明を目にすることがあります。
この説明は間違いではありませんが、障害年金を請求すれば、誰でも過去5年分を受給できるという
意味ではありません。
過去に遡って障害年金を受給するためには、原則として、障害認定日時点ですでに障害等級に該当
していたことを証明し、障害認定日による請求が認められる必要があります。
今回は、障害年金の請求時効と、いわゆる「5年遡及請求」について解説します。
障害年金の請求方法は大きく2つ
障害年金の請求方法は、障害状態に該当した時期によって、主に次の2つに分かれます。
障害認定日による請求
事後重症による請求
この2つは、障害年金を受け取り始める時期が大きく異なります。
障害認定日による請求とは
障害認定日による請求とは、障害認定日の時点で障害等級に該当する状態にあったとして
請求する方法です。
障害認定日は、原則として、初診日から1年6か月を経過した日です。ただし、傷病によっては、
1年6か月以内でも障害認定日として取り扱われる場合があります。
障害認定日による請求が認められると、原則として、障害認定日の翌月分から障害年金を受給する
権利が発生します。
障害認定日を過ぎてから時間がたっていても請求できますが、実際に遡って支払われる年金は、
時効により原則として直近5年分が限度です。
「5年遡及請求」は誰でもできるわけではない
よく使われる「5年遡及請求」という言葉は、請求日の5年前に障害年金の受給権が自動的に発生する
制度ではありません。
まず、障害認定日時点で障害等級に該当していたと認められることが必要です。
例えば、障害認定日が8年前だった場合でも、その時点の障害状態が認められれば、受給権自体は
障害認定日に遡って発生します。
ただし、請求が遅れた場合、実際に支払われる年金は原則として請求時点から遡って5年分までとなり、
それより前の各月分は時効によって受け取れないことがあります。日本年金機構も、遡及して受けられる
年金は時効により5年分が限度と案内しています。
つまり、
10年前から病気だった
初診日が10年前だった
10年前から生活に困っていた
という事情だけで、10年分や5年分の障害年金を受給できるわけではありません。
重要なのは、障害認定日の時点で障害等級に該当していたことを、必要な書類によって証明できるかどうかです。
遡及請求では過去の診断書が重要
障害認定日による請求では、原則として、障害認定日から3か月以内の症状を記載した診断書が必要です。
さらに、障害認定日と現在の請求日が1年以上離れている場合は、請求日前3か月以内の現在の診断書も
併せて必要になります。
したがって、遡及請求では通常、
障害認定日頃の診断書
現在の診断書
受診状況等証明書
病歴・就労状況等申立書
などを準備します。
特に問題になりやすいのが、障害認定日当時のカルテです。
請求までに長い年月が経過していると、医療機関にカルテが残っていない、当時の主治医がいない、
転院前の病院が閉院しているなどの事情により、障害認定日頃の診断書を作成してもらえないことがあります。
現在の症状が重くても、障害認定日当時の状態を証明できなければ、過去に遡った受給が認められない可能性が
あります。
事後重症請求は過去に遡らない
障害認定日には障害等級に該当していなかったものの、その後に症状が悪化して障害等級に該当した場合は、
事後重症による請求ができます。
事後重症請求が認められた場合、障害年金を受給できるのは、原則として請求日の翌月分からです。
障害認定日や症状が悪化した時点まで遡って支給されるわけではありません。
例えば、数年前から症状が悪化していたとしても、事後重症請求をしたのが2026年7月であれば、
原則として2026年8月分からの支給になります。
事後重症請求は、請求が遅れた分だけ受給開始も遅くなります。また、原則として65歳の誕生日の前々日まで
に請求書を提出する必要があります。
障害認定日請求と事後重症請求の違い
両者の違いを整理すると、次のようになります。
障害認定日による請求
障害認定日時点で障害等級に該当していたことを証明して請求します。
認められた場合は、障害認定日の翌月分から受給権が発生しますが、実際に遡って受け取れるのは原則として
直近5年分までです。
事後重症による請求
障害認定日には該当しなかったものの、その後に症状が悪化したとして請求します。
認められた場合は、原則として請求日の翌月分から受給します。過去5年分を遡って受給する請求ではありません。
「5年分受給できる」と決めつけないことが大切
障害年金の遡及請求では、5年分の年金がまとめて支給される可能性があります。
しかし、実際に何年分を受給できるかは、次の事情によって異なります。
障害認定日がいつか
障害認定日時点で障害等級に該当していたか
当時の診断書を作成できるか
初診日を証明できるか
保険料納付要件を満たしているか
いつ請求したか
例えば、障害認定日が請求日の2年前であれば、認められても遡る期間は約2年分です。
「遡及請求=必ず5年分受給できる」ということではありません。
秋山社会保険労務士事務所では、初診日、障害認定日、通院歴、現在の障害状態などを確認し、障害認定日請求や
事後重症請求の可能性を検討したうえで、障害年金の請求手続きをサポートしています。
「過去に遡って請求できる可能性があるか知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。