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【障害年金】障害年金を受給すると健康保険の扶養から外れる?

2026年08月23日 19:00

障害年金を受給している方や、そのご家族から、次のようなご相談を受けることがあります。

「障害年金を受給すると、家族の健康保険の扶養から外れますか?」

「障害年金は非課税だから、扶養判定の収入には入らないですよね?」

障害年金と健康保険の扶養は、まったく別の制度です。

障害年金を受給したからといって、直ちに健康保険の扶養から外れるわけではありません。

ただし、障害年金は非課税であっても、健康保険の被扶養者認定では原則として収入に含まれます。

この違いを理解しておかなければ、後から扶養を外す手続きが必要になる可能性があります。

障害年金は非課税でも、健康保険では収入になる

障害年金には、原則として所得税や住民税がかかりません。

そのため、「税金がかからない収入なら、健康保険の扶養判定にも影響しない」と

思われがちです。

しかし、税法上の所得と、健康保険における収入の考え方は異なります。

健康保険の被扶養者認定では、給与や事業収入だけでなく、非課税の障害年金や遺族年金、雇用保険の

失業給付なども収入に含めて判断されます。日本年金機構も、被扶養者届の年間収入には、障害年金などの

非課税収入を含めるよう案内しています。

つまり、障害年金は税金の計算では非課税でも、健康保険の扶養判定では収入になる

ということです。

障害年金を受給している人の収入基準は原則180万円未満

一般的な健康保険の扶養認定では、年間収入が130万円未満であることが基本的な基準です。

一方、60歳以上の方、またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害がある方については、

年間収入の基準が原則として180万円未満になります。

したがって、障害年金を受給している方については、障害年金だけでなく、給与やその他の継続的な収入も

合算して、年間収入が180万円未満になるかを確認する必要があります。

例えば、次のような場合です。

  • 障害年金が年間120万円

  • パート収入が年間40万円

  • その他の継続収入はない

この場合、年間収入の合計は160万円です。

収入基準だけを見れば180万円未満ですが、実際の扶養認定では、扶養する家族との生計維持関係なども

確認されます。

なお、「障害年金を受給していれば、必ず180万円基準になる」と一律に判断するのは適切ではありません。

180万円基準の対象となるのは、単に何らかの病気や障害がある方ではなく、おおむね障害厚生年金を

受けられる程度の障害がある方です。最終的な認定は、加入している協会けんぽや健康保険組合などの

保険者が行います。

障害年金と給与は合算して判断される

健康保険の扶養判定では、障害年金だけを見ればよいわけではありません。

次のような継続的な収入がある場合は、原則として合算して判断されます。

  • 障害年金

  • 給与収入

  • 事業収入

  • 不動産収入

  • 遺族年金

  • 雇用保険の基本手当

  • 傷病手当金

  • その他の継続的な収入

例えば、障害年金が年間140万円で、パート収入が年間50万円ある場合、合計収入は190万円になります。

180万円以上の収入が今後も見込まれる場合は、原則として健康保険の扶養から外れる可能性があります。

「障害年金が180万円未満だから大丈夫」ではなく、給与などを含めた合計収入で確認することが重要です。

収入は過去の確定額ではなく、今後1年間の見込みで判断される

健康保険の被扶養者認定では、原則として前年の所得だけで判断するのではありません。

扶養認定を受ける時点から、今後1年間にどれくらいの収入が見込まれるかによって判断されます。

障害年金の支給が決定した場合には、年金証書や年金振込通知書などをもとに年間受給額を確認します。

さかのぼって過去の障害年金がまとめて支給された場合でも、その一時的な振込額をそのまま1年間の

収入として扱うとは限りません。

遡及支給分がある場合は、通常の年金額と遡及分を区別し、どのように申告するかを加入先の保険者へ

確認することが大切です。

同居していれば180万円未満だけでよいわけではない

健康保険の扶養に入るためには、収入額の基準だけでなく、扶養する家族によって主として生計を

維持されていることも必要です。

同居している場合は、原則として、

  • 本人の年間収入が基準額未満であること

  • 本人の収入が被保険者の年間収入の2分の1未満であること

が判断基準になります。

ただし、本人の収入が被保険者の収入の2分の1以上であっても、被保険者の収入を上回らず、

世帯の生計状況から被保険者が生計維持の中心であると認められれば、扶養認定される場合があります。

したがって、180万円未満であれば必ず扶養に入れるというわけではありません。

別居している場合は仕送り額にも注意

扶養する家族と別居している場合は、本人の年間収入が基準額未満であることに加えて、その収入が

被保険者からの仕送り額より少ないことが原則として必要です。

例えば、障害年金などの年間収入が120万円であるにもかかわらず、家族からの仕送りが年間60万円しかない場合、

被保険者によって主として生計を維持されているとは認められない可能性があります。

別居している場合は、振込記録など、仕送りの事実と金額が確認できる資料を求められることがあります。

勤務先の社会保険に加入する場合は扶養から外れる

障害年金と給与の合計が180万円未満であっても、本人が勤務先の健康保険・厚生年金保険の加入要件を

満たした場合は、原則として自分の勤務先で社会保険に加入します。

この場合、家族の健康保険の被扶養者として残ることはできません。

つまり、健康保険の扶養については、

  1. 本人が勤務先の社会保険に加入する義務があるか

  2. 加入義務がなければ、扶養の収入基準を満たすか

  3. 扶養者との生計維持関係があるか

という順番で確認する必要があります。

「年収180万円未満だから扶養に入れる」とは限らない点に注意しましょう。

障害年金の受給決定後は健康保険の届出を確認しましょう

障害年金の受給が決定し、今後の年間収入が扶養基準を超える見込みになった場合は、健康保険の

扶養から外れる手続きが必要になることがあります。

扶養から外れる必要があるにもかかわらず、そのまま被扶養者として医療機関を受診すると、後日

健康保険が負担した医療費の返還を求められる可能性があります。

障害年金の受給が始まったときや年金額が改定されたときは、次の点を確認しましょう。

  • 障害年金の年間受給見込額

  • 給与など、障害年金以外の年間収入

  • 同居か別居か

  • 扶養者の年間収入

  • 別居の場合の仕送り額

  • 本人の勤務先で社会保険に加入する必要がないか

判断に迷う場合は、扶養者の勤務先や加入している健康保険へ早めに確認することが大切です。

税金の扶養と健康保険の扶養は別制度です

「扶養」という言葉には、主に次の異なる制度があります。

  • 所得税・住民税の扶養

  • 健康保険の扶養

  • 国民年金の第3号被保険者

これらは、それぞれ要件や収入の計算方法が異なります。

障害年金が非課税であることと、健康保険の扶養に入れるかどうかは別の問題です。

また、配偶者が健康保険の扶養から外れる場合は、国民年金の第3号被保険者の資格にも影響することがあります。

「税金がかからないから大丈夫」「障害年金だけなら申告しなくてよい」と自己判断せず、それぞれの制度に

ついて確認しましょう。

まとめ

障害年金を受給したからといって、必ず健康保険の扶養から外れるわけではありません。

ただし、障害年金は非課税であっても、健康保険の扶養判定では収入に含まれます。

おおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害がある方は、原則として年間収入180万円未満が一つの

基準になりますが、給与などの収入も合算されます。

さらに、扶養者との収入関係、同居・別居、仕送りの状況、本人の社会保険加入義務なども確認しな

ければなりません。

障害年金の受給後に健康保険の扶養を継続できるか分からない方は、自己判断で手続きを放置せず、

加入している健康保険や社会保険労務士へご相談ください。



秋山社会保険労務士事務所
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