ブログ

2026年10月からパート社員・有期契約社員の労働条件通知書が変わります

2026年07月14日 17:14

パートや契約社員を採用するとき、会社では労働条件通知書や雇用契約書を交付していると思います。

しかし、2026年10月1日から、パートタイム労働者や有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件明示

ルールが変わります。

現在使用している労働条件通知書や雇用契約書をそのまま使い続けると、必要な記載が不足する可能性が

あります。

さらに今回の改正は、単に労働条件通知書へ一文を追加すれば終わるものではありません。

正社員とパート・契約社員との待遇差について、会社がきちんと説明できるよう、就業規則や賃金規程、

各種手当の支給基準まで確認する必要があります。

パートや契約社員を一人でも雇用している会社は、施行直前になって慌てないよう、早めに社内書類を

見直しておきましょう。

2026年10月から何が変わるのか

2026年10月1日以降、パートタイム労働者や有期雇用労働者を新たに雇い入れる際、労働条件通知書などに

次の内容を明示する必要があります。

正社員との待遇差の内容や理由などについて、会社に説明を求めることができること

パートタイム・有期雇用労働法では、パートや契約社員が、正社員との待遇差の内容や、その待遇差を設けて

いる理由について、会社に説明を求めることが認められています。

今回の改正により、その説明を求めることができるという権利を、雇い入れ時に書面などで知らせることが

必要になります。

待遇差の内容をすべて通知書に書くわけではありません

今回の改正について、誤解しやすい点があります。

正社員とパートとの基本給、賞与、手当、退職金などの違いや、その理由をすべて労働条件通知書に記載しな

ければならないわけではありません。

新たに記載するのは、あくまで、

「正社員との待遇差の内容や理由について、会社に説明を求めることができる」

という趣旨の内容です。

ただし、実際にパートや契約社員から説明を求められた場合、会社は待遇差の内容や理由を説明しなければ

なりません。

つまり、労働条件通知書に一文を追加するだけでは不十分です。

会社として、なぜ正社員には支給している手当をパートには支給していないのか、なぜ賞与や退職金の取扱いが

異なるのかを説明できる状態にしておく必要があります。

現在でもパートには追加の明示事項があります

パートタイム労働者や有期雇用労働者については、一般の労働条件に加えて、現在でも次の事項を書面などで

明示する必要があります。

  • 昇給の有無

  • 賞与の有無

  • 退職手当の有無

  • 雇用管理の改善などに関する相談窓口

会社が長年使っている古い雇用契約書や、インターネット上で入手した簡単なひな形では、これらの項目が

抜けていることがあります。

また、正社員用の労働条件通知書を、そのままパートにも流用している会社も注意が必要です。

2026年10月以降は、これらの項目に加えて、正社員との待遇差について説明を求めることができる旨の記載が

必要になります。

正社員とパートで同じひな形を使っていませんか

小規模な会社では、正社員、パート、契約社員の区分にかかわらず、同じ雇用契約書を使用して

いることがあります。

しかし、雇用区分によって、契約期間、更新の有無、昇給、賞与、退職金、手当、勤務時間などの

取扱いが異なる場合、同じひな形を使い回すと必要な事項が抜けたり、実際の運用と書面の内容が

食い違ったりする可能性があります。

例えば、次のようなケースです。

  • 契約社員なのに契約更新の基準が書かれていない

  • パートの昇給や賞与の有無が記載されていない

  • パート用の相談窓口が記載されていない

  • 雇用契約書には賞与なしと書かれているが、就業規則では支給する場合があると定めている

  • 雇用契約書と賃金規程で手当の支給条件が異なっている

労働条件通知書だけを見るのではなく、就業規則や賃金規程との整合性まで確認することが重要です。

有期契約を更新するときも注意が必要です

契約期間を定めて雇用しているパートや契約社員については、最初に採用したときだけでなく、

契約更新時の書面も確認する必要があります。

会社によっては、初回の採用時には詳しい雇用契約書を交付していても、更新時には、

「従前と同じ条件で契約を更新する」

という簡単な書面だけで済ませていることがあります。

しかし、契約期間や更新後の労働条件が適切に確認できない書面では、後から認識の違いが

生じる可能性があります。

契約更新のたびに書類を一から作成する必要があるという意味ではありませんが、少なくとも

更新後の契約期間、労働時間、賃金、業務内容などの条件が確認できる書式にしておくことが大切です。

採用時の労働条件通知書だけでなく、契約更新時に使用している更新契約書についても見直しておきましょう。

「パートだから支給しない」だけでは説明にならない可能性があります

正社員には賞与や各種手当を支給している一方で、パートには一切支給していない会社もあると思います。

待遇に違いを設けること自体が、直ちに違法になるわけではありません。

正社員とパートでは、業務内容、責任の程度、配置転換の範囲、勤務時間などが異なることがあるためです。

しかし、労働者から待遇差の理由を聞かれたときに、

「パートだからありません」

「うちは昔からそうしています」

「正社員ではないからです」

と答えるだけでは、十分な説明にならない可能性があります。

待遇差が不合理かどうかは、業務の内容、責任の程度、配置転換の範囲、待遇を設けた目的などを踏まえ、

待遇ごとに判断されます。

2026年10月からは、同一労働同一賃金ガイドラインも改正されます。

賞与、退職手当、家族手当、住宅手当、病気休職、夏季・冬季休暇などについて、正社員とパート・

有期雇用労働者との待遇差を考える際の考え方が追加・見直しされます。

労働条件通知書だけ直せばよいわけではありません

今回の改正を受けて、労働条件通知書へ新しい文言を一文追加し、それで対応完了と考える会社も

あるかもしれません。

しかし、次の書類をまとめて確認する必要があります。

  • 労働条件通知書

  • 雇用契約書

  • 正社員就業規則

  • パートタイマー就業規則

  • 有期契約社員就業規則

  • 賃金規程

  • 退職金規程

  • 育児・介護休業規程

  • 人事評価制度

  • 各種手当の支給基準

例えば、労働条件通知書に「賞与なし」と書いていても、就業規則に「会社の業績等により支給することがある」

と書かれていれば、書類同士の関係を整理する必要があります。

また、正社員にだけ家族手当や住宅手当を支給している場合、その手当が何のために設けられているのか、

なぜパートには支給しないのかを確認しておかなければなりません。

雇用契約書、就業規則、賃金規程の内容がバラバラでは、従業員から説明を求められたときに、

会社として一貫した説明ができません。

就業規則の記載が実際の運用と合っていますか

就業規則は作成したら終わりではありません。

数年前に作成した就業規則を、その後一度も見直していない会社では、現在の雇用実態や賃金制度と

内容が合っていないことがあります。

例えば、次のような状態です。

  • 就業規則にはない手当を毎月支給している

  • 規程に記載された手当を実際には支給していない

  • パートには適用しないはずの規定が適用される書き方になっている

  • 正社員とパートの適用範囲が明確になっていない

  • 賞与や昇給の基準が曖昧

  • 契約更新や雇止めのルールが現在の運用と異なる

  • パート用就業規則が作成されていない

2026年10月の改正を機に、労働条件通知書だけでなく、就業規則や賃金規程が実態に合っているかも

確認しておきましょう。

パート用就業規則を作成していない会社も要注意です

正社員とパートでは、勤務時間、休日、賃金、賞与、退職金、休職、定年などの取扱いが

異なることがあります。

それにもかかわらず、正社員用の就業規則しか作成していない場合、正社員用の規定がパートにも

適用されるのかどうかが不明確になります。

「パートには賞与を支給しないつもりだったが、就業規則の書き方ではパートにも支給するように読める」

「正社員用の退職金規定がパートにも適用されるのではないか」

といったトラブルにつながることもあります。

パートを雇用している会社では、正社員用の就業規則だけで足りるか、パートタイマー就業規則を

別に作成すべきかを検討する必要があります。

2026年10月までに会社が確認したいこと

パートや有期契約社員を雇用している会社は、施行前に次の点を確認しておきましょう。

1.労働条件通知書のひな形

2026年10月から追加される明示事項に対応しているか確認します。

正社員とパートで同じひな形を使用している会社は、パートタイム・有期雇用労働法上の必要事項が

不足していないかを確認しましょう。

2.契約更新時の書式

有期雇用契約を更新する際の書面についても、現在の労働条件が適切に確認できる内容になっているかを

確認します。

3.正社員との待遇差

基本給、賞与、退職金、各種手当、休暇、福利厚生などについて、正社員とパート・有期契約社員との

間にどのような違いがあるかを確認します。

4.待遇差を設けている理由

正社員とパートとの待遇差について、業務内容や責任、配置転換の範囲などを踏まえて説明できるかを確認します。

5.就業規則と賃金規程

労働条件通知書、雇用契約書、就業規則、賃金規程の内容が一致しているかを確認します。

6.パート用就業規則の有無

正社員とパートで労働条件が大きく異なる場合は、パートタイマー就業規則の作成や改訂も検討します。

よくある質問

パートが一人しかいない会社でも対応が必要ですか

パートタイム・有期雇用労働法による労働条件明示は、パートや有期雇用労働者を雇用する事業主に

関係するものです。

従業員数が少ない会社でも、パートや有期契約社員を雇い入れる場合には確認が必要です。

労働条件通知書に一文追加すれば終わりですか

書面上の明示だけを考えれば、追加される事項を記載する必要があります。

しかし、実際に待遇差について説明を求められたときに備え、就業規則、賃金規程、手当の支給基準なども

確認しておく必要があります。

正社員とパートで待遇が違うと違法ですか

待遇が異なるだけで、直ちに違法になるわけではありません。

業務内容、責任、配置転換の範囲、待遇の目的などを踏まえて、不合理な待遇差であるかどうかが判断されます。

大切なのは、会社が待遇差の理由を整理し、具体的に説明できる状態にしておくことです。

就業規則の変更も必要ですか

現在の就業規則や賃金規程の内容によって異なります。

労働条件通知書だけを修正すればよい会社もあれば、正社員とパートの適用範囲、賞与、退職金、手当、

休暇などの規定まで見直した方がよい会社もあります。

労働条件通知書・就業規則・賃金規程の見直しは当事務所へご相談ください

秋山社会保険労務士事務所では、2026年10月の改正に対応した労働条件通知書や雇用契約書の見直しに

対応しています。

また、単に労働条件通知書へ新しい文言を追加するだけでなく、次のような規程類についても、

実際の雇用管理や賃金制度に合わせて確認・改訂を行います。

  • 正社員就業規則

  • パートタイマー就業規則

  • 有期契約社員就業規則

  • 賃金規程

  • 退職金規程

  • 育児・介護休業規程

  • 雇用契約書・労働条件通知書

正社員とパート・有期契約社員との待遇差について、会社として合理的な説明ができる状態になっているかも

確認します。

次のような会社は、ぜひ一度ご相談ください。

  • 労働条件通知書を何年も見直していない

  • インターネットで入手したひな形をそのまま使っている

  • 正社員とパートで同じ雇用契約書を使用している

  • パート用の就業規則を作成していない

  • 賞与、退職金、各種手当の支給基準が曖昧

  • 就業規則と雇用契約書の内容が一致しているか分からない

  • 正社員とパートの待遇差を説明できるか不安

  • 法改正を機に就業規則や賃金規程をまとめて見直したい

法改正の直前は、労働条件通知書や就業規則の見直し依頼が集中する可能性があります。

パートや有期契約社員を雇用している会社は、2026年10月を迎える前に、早めに秋山社会保険労務士事務所

までお問い合わせください。




対応地域:全国対応
主な対応地域:尼崎市、西宮市、大阪市、伊丹市、兵庫県、大阪府
対応方法:チャットワーク、メール、オンライン面談、電話、訪問